てがみ
数ヶ月ぶりに傍で聞く声、体温に、心臓が弾んでしまう。
(幸せなんてそんなこと――)
一言であらわせるようなことじゃない。
唇を尖らせて意地悪く問いかけた雲雀を睨むように見あげると、綱吉は空いた手を宙に伸ばした。探るように手をあて雲雀の後頭部を掻き抱くように引き寄せる。
吐息が絡むような距離で踵をあげる。
「いまは幸せですよ。帰ってこない誰かさんも帰ってきたみたいですし」
たっぷりと嫌味をこめて呟くと、十年前は考えてもなかっただろう幸せのかたちだろうけど、と口には出さず久しぶりの恋人との触れ合いを待ち望むようにゆっくりと瞼を落とした。