二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

純潔で焦がして

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
からんからん、と高らかに鳴り響く鐘の音。
光る金色の玉がぴかぴか輝いて眩しい。


「大当たり!一等大当たり~!」

わぁっと沸き起こる拍手の嵐に、ただ呆然とするしかなかった。






慣れた動作でアドレスを開けば、迷わず発信ボタンをプッシュする。
ワンコール、ツーコール、その間がどうにももどかしい。
早く伝えたいのに、早く早く。


プツ、

『…もしもし』

「あ、高倉弟!?あのさ、温泉行こうぜ!」

『え、何さ突然。意味が分からない…』

電話口で抑揚のない言葉が漏れる。
今晶馬がどんな表情をしているかなんて簡単に思い描ける。
きっと、虚ろな瞳でぼんやり空を見詰めているのだろう。
胸が詰まりそうになるのを振り切り、大きく口を開いた。

「だーかーら!当たったんだって!一等!温泉旅行!」

すごいだろと興奮気味に鼻を鳴らすと、電話の向こうから溜息が漏れ聞こえた。

『そう、おめでとう。それで?』

「だからさ、一緒に行こうぜ!」

少しの無音の後、耳に入る謝罪の声。

『ごめん、行けない。悪いけど、他の人誘って』

じゃあね、と弱々しい声で囁かれ、俺は慌てて携帯に齧り付いた。

「わー!待て!切るな、切るなよ!?」

『何?まだ何か用?』

電話越しに少々苛立ちを孕む声が通り抜ける。
負けてしまいそうになる心を奮い立たせて声を振り絞る。

「行くだろ!?行くって言え!」

『嫌だ』

「んなつれない事言うなって!たまには俺に付き合え!」

『いつも散々付き合ってあげてるような気がするんだけど、気のせいかな』

「とにかく!俺はお前と行きたいの!と言うわけで、待ち合わせ場所が、」

『ちょっと、行かないったら』

「来いよ!絶対だぞ!待ってるからな!」

場所と時間だけを口早に告げると、一方的に電源を切った。
ぎゅっと握り締める手が、僅かに震える。
我ながら強引な手口だったと思う。
でも、最近元気がない晶馬をどうしても笑顔にさせてやりたかった。
これはチャンスだと思ったんだ。
例えそれが俺のエゴだとしても、動き出した気持ちは止められない。


だって、やっぱり好きな子には、一分一秒でも長く笑っていてほしいから。

作品名:純潔で焦がして 作家名:arit