純潔で焦がして
からんからん、と高らかに鳴り響く鐘の音。
光る金色の玉がぴかぴか輝いて眩しい。
「大当たり!一等大当たり~!」
わぁっと沸き起こる拍手の嵐に、ただ呆然とするしかなかった。
◇
慣れた動作でアドレスを開けば、迷わず発信ボタンをプッシュする。
ワンコール、ツーコール、その間がどうにももどかしい。
早く伝えたいのに、早く早く。
プツ、
『…もしもし』
「あ、高倉弟!?あのさ、温泉行こうぜ!」
『え、何さ突然。意味が分からない…』
電話口で抑揚のない言葉が漏れる。
今晶馬がどんな表情をしているかなんて簡単に思い描ける。
きっと、虚ろな瞳でぼんやり空を見詰めているのだろう。
胸が詰まりそうになるのを振り切り、大きく口を開いた。
「だーかーら!当たったんだって!一等!温泉旅行!」
すごいだろと興奮気味に鼻を鳴らすと、電話の向こうから溜息が漏れ聞こえた。
『そう、おめでとう。それで?』
「だからさ、一緒に行こうぜ!」
少しの無音の後、耳に入る謝罪の声。
『ごめん、行けない。悪いけど、他の人誘って』
じゃあね、と弱々しい声で囁かれ、俺は慌てて携帯に齧り付いた。
「わー!待て!切るな、切るなよ!?」
『何?まだ何か用?』
電話越しに少々苛立ちを孕む声が通り抜ける。
負けてしまいそうになる心を奮い立たせて声を振り絞る。
「行くだろ!?行くって言え!」
『嫌だ』
「んなつれない事言うなって!たまには俺に付き合え!」
『いつも散々付き合ってあげてるような気がするんだけど、気のせいかな』
「とにかく!俺はお前と行きたいの!と言うわけで、待ち合わせ場所が、」
『ちょっと、行かないったら』
「来いよ!絶対だぞ!待ってるからな!」
場所と時間だけを口早に告げると、一方的に電源を切った。
ぎゅっと握り締める手が、僅かに震える。
我ながら強引な手口だったと思う。
でも、最近元気がない晶馬をどうしても笑顔にさせてやりたかった。
これはチャンスだと思ったんだ。
例えそれが俺のエゴだとしても、動き出した気持ちは止められない。
だって、やっぱり好きな子には、一分一秒でも長く笑っていてほしいから。
光る金色の玉がぴかぴか輝いて眩しい。
「大当たり!一等大当たり~!」
わぁっと沸き起こる拍手の嵐に、ただ呆然とするしかなかった。
◇
慣れた動作でアドレスを開けば、迷わず発信ボタンをプッシュする。
ワンコール、ツーコール、その間がどうにももどかしい。
早く伝えたいのに、早く早く。
プツ、
『…もしもし』
「あ、高倉弟!?あのさ、温泉行こうぜ!」
『え、何さ突然。意味が分からない…』
電話口で抑揚のない言葉が漏れる。
今晶馬がどんな表情をしているかなんて簡単に思い描ける。
きっと、虚ろな瞳でぼんやり空を見詰めているのだろう。
胸が詰まりそうになるのを振り切り、大きく口を開いた。
「だーかーら!当たったんだって!一等!温泉旅行!」
すごいだろと興奮気味に鼻を鳴らすと、電話の向こうから溜息が漏れ聞こえた。
『そう、おめでとう。それで?』
「だからさ、一緒に行こうぜ!」
少しの無音の後、耳に入る謝罪の声。
『ごめん、行けない。悪いけど、他の人誘って』
じゃあね、と弱々しい声で囁かれ、俺は慌てて携帯に齧り付いた。
「わー!待て!切るな、切るなよ!?」
『何?まだ何か用?』
電話越しに少々苛立ちを孕む声が通り抜ける。
負けてしまいそうになる心を奮い立たせて声を振り絞る。
「行くだろ!?行くって言え!」
『嫌だ』
「んなつれない事言うなって!たまには俺に付き合え!」
『いつも散々付き合ってあげてるような気がするんだけど、気のせいかな』
「とにかく!俺はお前と行きたいの!と言うわけで、待ち合わせ場所が、」
『ちょっと、行かないったら』
「来いよ!絶対だぞ!待ってるからな!」
場所と時間だけを口早に告げると、一方的に電源を切った。
ぎゅっと握り締める手が、僅かに震える。
我ながら強引な手口だったと思う。
でも、最近元気がない晶馬をどうしても笑顔にさせてやりたかった。
これはチャンスだと思ったんだ。
例えそれが俺のエゴだとしても、動き出した気持ちは止められない。
だって、やっぱり好きな子には、一分一秒でも長く笑っていてほしいから。