二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Shadow of HERO 6

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 

真っ赤な炎に包まれる家。倒れている両親と2人の前に立つ誰か。逃げなければと思うのに呆然と立っている小さな自分。そんな自分を、誰かが抱きしめた。

「大丈夫だから、外へ行きな。」

そう言って笑った人物は――――――


Shadow of HERO 6


「………夢か。」

いつもの夢、けれど今日はなぜか魘されなかった。そういえば、謎の人物の声が初めて出てきた。

(でもあの声どこかで…?)

考え込もうとした時、腕に着けているPDAが鳴った。


「さぁ、今日も始まりましたヒーローTV!今回のターゲットは、空を自由に飛べるNEXTだ!!空といえばKOHスカイハイ!!手榴弾を大量に持っているのがやっかいだが、スカイハイに注目か!?」

犯人の能力を知った時バーナビーは、今回はすぐに終わると思った。マリオの視界の通り、空はスカイハイのフィールドだ。彼は空気を操れる、ただ飛ぶだけの能力なら容易に終わるだろうと。ポイントを奪われるのは悔しいが、手榴弾を持っているようだし人命救助で稼げばいいと思っていた。
その考えはヒーロー全体にあり、だから油断があったのだと思う。事件勃発から1時間、ヒーロー達は未だに犯人を捕らえられずにいた。

(くそ、どこへ行った…!)

煙まみれで何も見えない、スーツのサーチ機能すら役に立っていない。
当初手榴弾を思われていた物は、実は煙幕玉だった。スカイハイが距離を詰めるとそれを投げ、彼が煙を散らしているうちにまた逃げる。少しの時間だが相手のスピードはかなり速く、捕獲までたどり着けない。バーナビー達も追跡に加わったが、道に縛られているためやはり思うように動けないでいる。犯人は頭のきれる人物なのだということが窺えた。

『絶対にどこかで着陸するはずよ、そこを逃さないでちょうだい!』
「分かってます!」

もう1時間経つのだ、相手だって相当消耗しているはず。しかし一方で、あの速さが能力を極めたことで可能になったものなら1時間の能力使用など苦ではないのかもしれないとも思う。頭の切れる犯人なのだし自分の限界を把握しているはずだ。
何にせよ、犯人を目視できないと始まらない。

「……何だ、今の。」

一瞬、何か光った気がする。電線がビルの光に反射されたのかとも思ったが、それにしては形が細かった。もしかしたら犯人の服か何かの光かもしれない、光った方角へとバイクを走らせた。だんだんと該当が減って暗くなり細い道が多くなってくる。とても動きにくい場所だ、犯人の計画性を考えるとここにいる可能性は十分ある。
大分道が狭くなってきたため、バイクを降りて走って犯人を捜す。いくつか曲がったところで、微かに人の声が聞こえてきた。

「お前何者だよ…そんなヒーロー見たことないぞ…!?」
「!!」

声のする方へ行くと、犯人の男がいた。そしてもう一人、己とよく似たヒーロースーツを着た男。犯人はその人物の腕から伸びるワイヤーで高速されていた。

(さっきの光りはワイヤーの反射か。)

何かが頭の隅で引っかかった。しかし今はそれを追求する時ではない。

「お前、この間のやつだな。一体何者なんだ!」
「………」
「なぜアポロンメディアのヒーロースーツを着ている!?」

男は何も言おうとしない、ただバーナビーから視線を逸らすばかりだ。

「…だんまりか。だったらここでお前を掴めて無理にでも吐かせる!」

向こうはワイヤーで犯人を拘束していて自由に動けない、己にかなり有利だ。まだ能力を使っていないし、いざという時でも十分対処できる。

「覚悟し」
「こんなところで掴まってたまるかぁぁぁぁぁぁ!!」
「なっ…!?」

犯人の絶叫、そして強烈な青白い光にものすごい衝撃波。ワイヤーがはじけ飛んだと思ったや否や、バーナビーは壁に叩きつけられた。ヒーロースーツの防御力はかなり高いはずなのに、痺れるような痛みが身体を襲う。

「ぐ…かはっ…どういう、ことだ…?」

犯人の能力は飛行ではなかったのか。まさかスカイハイと同じ空気を自在に操るものなのだろうか。

「僕の能力は最強なんだ…こんなところで掴まるわけないんだ…」

真っ赤な顔で息を荒くしながら、男がユラリと立ちあがる。ゆっくりとバーナビーの方を見て、ニヤリと笑った。ハッとして、痛みに構わず左に転がった。今まで倒れていた所に植木鉢が落ちてきて、ガシャンという音と共に割れる。立ちあがろうとすると、今度は近くに停めてあったマウンテンバイクが飛んできた。避け切れず、左わき腹に当たる。ダメージが抜けきらない中の攻撃に息が詰まる。だが当たったことにより物体が青白く光っているのが見えたため、犯人の本当の能力に察しがついた。

「お前、念力のNEXTか。」
「そうだよ…今更気付いたのか、バーカ。」

念力―――意思の力で物事を自在に操れる力。おそらくこの犯人は物体の移動に特化しているのだろう。拘束したってすぐ抜けられる、相手を失神させなければ。そのためには近付く必要があるが、こう物が飛んできてはそれも難しい。
犯人の向こうで、さっきバーナビーとは反対側に吹き飛ばされた男が身じろいだ。何を意図したのかワイヤーを発射するも、あっけなく弾き飛ばされてしまう。

「なんだよ鬱陶しいなぁ…いいさ、お前から先に僕の力を見せてやるよ!」

犯人の身体がひと際強く光り、道端にあった鉢植えや置物等のあらゆる物が宙へ浮いた。そしてそれが一斉に男の元へと飛んで行った。

(……すごい。)

かなりのスピードで向かってくるそれらを、男は紙一重でかわしていく。ヒーロースーツが光っていないから能力ではない。その動き方にまた既視感を覚えてバーナビーは困惑した。

「バーナビー!!」
「!?」

突然名前を呼ばれて何事かと思う。飛んでくる物体をかわしながら、男はこちらを気にしている。表情が見えないのに、どうしてか何を伝えようとしているのか解った。

「くそ!くそ!なんで当たらないんだ…!」

(今なら!)

犯人の注意は男に向いている。能力を発動させて一気に近付き、犯人のわき腹に蹴りを入れた。もちろん加減はしたが、それでも犯人は吹き飛ばされ壁に激突した。操り手の集中力が切れたことで、宙に浮いていた物が重力に従い落ちていく。念のため様子を確認すると、完璧に失神していてしばらくは目覚めなさそうだ。GPSでここは知られているだろうし、少し放置しても問題ないだろう。
それよりも、だ。

「待て!」

バーナビーは立ち去ろうとしていた男の前に立ちはだかった。

「お前が何者か、力ずくでも吐かせると言っただろう!覚悟しろ!!」
「っ…!お前がやるべきことはそんなことじゃないだろ!予想よりも長かった逮捕劇に不安になってる市民もいる、その人達に犯人は捕まえたって伝えてやることが先じゃないのか!?」
「黙れ!」
「っ…!」

男の言葉を遮るために蹴りを繰り出す。そんな言葉イライラするだけだ。こっちの気も知らないで理想論ばかり、子供じゃあるまいし。最近本当にイライラしてばかりだ。

「―――!?」

そうだ、最近いつもそう感じている。いい歳して純粋にヒーローに憧れる女性、鏑木・T・虎徹に。
作品名:Shadow of HERO 6 作家名:クラウン