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しーど まぐのりあ1

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「いいだろう。ディアッカが格安だというのなら、自分で格安になるようにすればいい。おい、キラ・ヤマト、おまえの言い値で、おまえを買い取ろう。」
 おいおい、とディアッカは手を振ったが、無視だ。高額商品にならないように、管理しろという無言の脅しである。
「ありがとうございます。切符の手配だけさせていただければ、明日からでも僕は、そちらに参ります。それでよろしいですか? 」
「切符の手配は、こいつがやってくれる。おまえは、明日、その姪を連れて駅に来い。午後一番の列車に用意させる。それから証文は、その時に。」
「いえ、証文は結構です。そちらに僕を買っていただければ、それでいいんです。返すアテはありませんから、その証文はいりません。」
「駄目よ、キラ君。証文は交わしなさい。・・・イザーク様、明日、私も見届け人として同席させていただきますわ。」
 マリューが口を挟んだこと、イザークは軽く頷いた。自分を買ってくれというからには、そのことを証明しておく必要がある。まあ、それだけではないのだが、どちらも、それは暗黙のうちに視線だけで確認する。
「わかりました。では、明日の午後一番ということでお願いします。」
「ディアッカ、こいつの家まで行って、場所を確認しておけ。キラ・ヤマト、明日、迎えを差し向けるから、それで駅まで来い。」
「はい、承知しました。」
 ぺこりと頭を下げるとキラは、部屋を出ようとする。行け、とばかりにイザークが、となりのディアッカを睨む。はいはい、とディアッカのほうもニヤニヤと笑いつつ、そのキラの後を追った。



 珍しくキラは、夜早くに戻ってきた。誰かと一緒だ。その人物は、大変不遜な相手で、へらへらと自分を見下ろした。
「キラ、なんだ? こいつは? 」
「ああ、ごめんね、カガリ。知り合いの方なんだ。」
「ふーん、こんな小さい子だったのか。まあ、いいや。じゃあ、明日。」
「あの、お茶ぐらい。」
「いや、いいんだ。明日、迎えに来るまでは、おまえは自由だからな。邪魔するつもりはない。」
 二言三言話しただけで、その金髪の男は帰った。それから、キラは、ふうと息を吐き出してから、ふわりと笑った。
「カガリ、ようやく、帰れるよ。長いこと、不自由させてごめんね。さあ、きみの荷物を造ろう。」
 キラは、それだけ言うと、バタバタと私のカバンを用意する。帰る? 国に帰れるのだと思うと嬉しかったが、だが、いきなり帰れるというのはおかしい。
「キラ、なんでいきなり帰れるようになった? 」
「ああ、さっきの人が僕にお金を貸してくれたからだよ。その代わり、僕は、こちらで働いて、それを返すことになったから、きみを送って行くことはできないんだ。ごめんね、カガリ。でも、ちゃんと特等室の切符を用意してくれることになったから、汽車に乗っていれば三日で国に帰れるからね。」
 にこりと笑ってキラは謝る。謝って欲しくなんかない。それよりも、キラが帰らないというのがイヤだった。でも、私の反論は、「きみの母上が、きっと心配しておられるから、きみは早く姿を見せてあげる必要があるんだ。それに、働いて返せたら、僕も、そちらに行くから。」 というキラの言葉に封じられた。それ以上に、私が何を言っても、キラは、「ごめんね。」 と、謝るばかりで、ちっとも私の言い分は聞いてくれなかった。
作品名:しーど まぐのりあ1 作家名:篠義