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非喫煙者のスモークホリック

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メキリ、と手の中に収めたライターが不吉な音を立てたことで静雄はどうにか自我を取り戻した。気付けば火をつけたばかりだった煙草はすでにフィルターまで火が浸食し、足元にいくつもの灰の塊が転がっている。
まただ。また思い出す。いくら関係ない意味がない胸糞が悪い思い出だとわかっていても、この匂いを嗅ぐとそれはたちまち静雄を過去に引っ張っていく。いつもこうなるわけではない、本当にたまに、過去の方が静雄を思い出したかのようにやってくるのだ。あの頃社会経験だなんだとほざいて様々なものに手を出していた臨也の、嗜好品の一種、静雄が愛煙しているこの煙草の匂いを嗅いだとき。
灰を足で転がして散らばし、すでに火の消えかかった紙筒を携帯灰皿に押し込める。もう一本を取り出そうかと思ったが、また過去に引きずられてしまいそうな気がして、結局やめた。

煙草で気分が落ち着くなんてのはただのデマだ。静雄はそう信じている。ならば何故20歳早々に吸い始めたこれが今ではもう手放せない存在になってしまっているのかと問われれば、多分これが中毒というやつなのだ。ほら、煙草の箱にもしっかりと、未成年の喫煙はその依存や中毒性を高めることがありますって書いてあるし。法律にも引っかからない年齢になって周りの人間に勧められて、まあヒマつぶしにちょうどいいかと手を出した初めての煙草がまさかあの頃の、胸糞悪いあいつの匂いなんだってことに気付いたときにはもう遅かった。子供のころから手放せなかった飴玉と同じように、今はこいつが静雄の相棒だ。それだけとは言い切れない胸糞悪い経緯を、誰に問われるわけでもなく思い出しては、その度泣きたくなるくらい苛つく原因なのだとしても。