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僕の可愛い人ですから

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ハッとして、シュラは眼を開けた。
近くに雪男が立っている。
「なっ、なんで、ここに!?」
シュラは驚きで眼を見張り、問いかけた。
対照的に、雪男は落ち着いている。
「お店の人に確認したんですよ。予約は何人で入っているかって。そしたら、一人だっていう回答でした」
「あ……!」
たしかにシュラは店に予約を入れたとき人数は一人だと伝えた。
それでバレた。
シュラには店に行く気がなかったことが。
「だから、あなたを捜すことにしました。どこか僕の知らない場所に行っているのかもしれないから、見つけられる自信はなかったんですが、案外、簡単に見つかりました」
大変、気まずい。
ドタキャンどころか、最初から約束をすっぽかすつもりだったのを知られてしまっている。
でも。
「あのな、雪男」
もう嘘の言い訳をする気はない。この手のことを誘われても自分には応じる気がないことをハッキリ伝えたほうがいいと思った。
だから、そう言おうとした。
けれども。
「シュラさんから見れば、僕は子供だって言いたいんでしょう?」
雪男がシュラの話をさえぎるように言った。
それはシュラが言いたかったことでもあるので、シュラは黙った。
「そうですね、たしかに僕は子供です。そして、いつまでたっても、僕はあなたの歳に追いつくことはできません」
年齢差が縮まることはない。
この先、雪男が成年になっても、シュラよりずっと年下であるのには変わりないのだ。
「でも、背の高さは、あなたに追いつき、追い越した」
雪男は敬語を使わなくなっている。
素、だ。
「だからといって、あなたより強くなったわけじゃない。でも、成長した分、できることが増えた」
その声は力強い。
シュラよりも大きく成長した身体。
大人びた顔つき。
メガネの向こうの眼差しは真摯だ。
「僕はあなたの過去を知らない。あなたの抱えている痛みの理由を知らない。でも、あなたを支えることはできる」
そう言うと、雪男は右手を差しだしてきた。
シュラはその手をじっと見る。
自分を救い出してくれた手とは違う。
だけど。
歴代最年少で祓魔師の資格を得て、拳銃を持って戦ってきた手だ。
シュラの表情がふっとゆるんだ。
「……降参」
肩の高さまであげた両の手のひらを雪男に向けた。
負けを認める。
シュラは手をおろし、続けて、右手を差しだした。
差しだされている手をつかんだ。
すると、雪男が手を握ってきた。
さらに、引っ張られる。
シュラは抗わず、引き寄せられてやる。
すぐそばに雪男の身体がある。
コイツ本当に大きくなったなぁと、シュラは雪男の腕の中で思った。





作品名:僕の可愛い人ですから 作家名:hujio