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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
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【完全読み切り】燈

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 気温が急上昇する。炎タイプ使いのアスナは今日も火山のふもとをキュウコンをつれて散歩していた。
 「炎ポケモンのエキスパートになって、やっと強くなったって、実感できるようになったね」
 「アスナも昔はかっこつけたりしてたからな」
 「コンちゃん、それは言わないでってば」
 「あ〜やっぱ今思えば恥ずかしいのか」
 「あたりまえでしょってば」
 アスナは遠くを見つめる。
 「ユウキくんはもうリーグを制覇しちゃったからね」
 「ジョウトから引っ越してきてまだそんなに経たないうちにな」
 「彼と…彼のポケモンは短期間でさっさと私たちをおいこしちゃったんだね」
 「…才能があるってことなんだろうが…」
 アスナが少し悲しげな表情を浮かべる。
 「私だって…周りよりは強いって…言われてたのに…さ」
 「…」
 キュウコンは慰めようとするが、まったくその言葉が見つからない。

 「少し…最近そればっかり気になっているようだな、お前」
 「…分かるの…?」
 「挑戦者にガキが増えたからな」
 確かに、3年前から、少年や少女のジム戦挑戦者が増えている、ということは感じられた。ユウキの影響だろう。少年で、しかもなおかつジョウト地方から来た、よそ者であるとわかれば、その彼にできたことを何で自分たちにできないといえる理由があるのか、と挑戦者が増えるのも当然といえば当然ではある、のだが。
 「あいつの父親だって、過去にワールドリーグ5位だった男で、現トウカジムリーダーじゃないか。まあ、血筋だけであれだけの実力は出せないけれどもな」
 「でも…さ…私だって…さ…」
 「分かってるよ、お前だって最強のトレーナーになりたいって言うことは」

 「そういえば、来月からお前、一カ月休暇だったよな」
 「ええ…まあ…」
 「燈山(ともしびやま)って言うところに言ってみねえか?」
 キュウコンに言われて、アスナはふとそちらの方を向く。
 「あそこは全世界の炎使いが集まる場所だって、俺も炎タイプのポケモンの噂に聞いている。一度、腕を試してみたかったんだよ」
 「コンちゃん」
 「なあ、行こうぜ?」
 …燈山。頂上に伝説の炎の鳥、ファイヤーがいることでも知られる、カントー地方ナナシマ諸島の山。フエンの火山や、シンオウ地方の北にあるといわれているハードマウンテンという山よりも嶮しく、暑いといわれている有名な山である。

 「コンちゃん…その考え方賛成」
 一度自分の実力を試してみる…よく考えれば、至極まっとうな考え方であった。
 2年ほど前にユウキにもらった卵からは、アチャモがかえり、それはもう成長してバシャーモになっていた。他の炎タイプのポケモンもかなり育った。
 「チャモちゃん、スターちゃん、カルゴちゃん…そしてコンちゃん。行こうか」

 #

 港町カイナから船に乗り、アサギに寄港してのちクチバの港に着く。ここまでには合わせても2日ほどしかかからない。そして、クチバからシーギャロップにのりこんで、ナナシマは1の島に辿りつく。
 そこから後は、波乗りをできるものならば波に乗って先へ進むが、多くの来訪者は炎使いでそんなメンバーなどいないので、渡し舟に乗って燈山に向かう。まだナナシマという場所は開発もそこまで進んでいないため、舟を漕ぐのもアナログな作業である。
 「とりあえず、今日は休んで、明日から修行だね」
 
 翌日。彼女は、さっそく舟に乗って、燈山のふもとにつく。船頭に代金を支払い、入り口から早速山を登る。
 「私のポケモンたちがどこまで通用するかな」

 炎使いが集まるだけあって、戦いはかなりハードなものだった。しかし彼女も伊達にリーダー業を務めてきたわけではないのだ。
 「ふう!50人抜きっと」
 すでに彼女の強さはほかのトレーナー内でもうわさになっているようだった。もともと熱気のある山で、さらに炎技がこの場をヒートアップさsている。水をとっても汗が滝のように流れ落ちる。
 「大丈夫かアスナ」
 「大丈夫だよコンちゃん」

 山のふもとの飲食店で、トレーナーたちは互いに情報交換をする。ポケギアに互いの番号を登録し合い、友人を作っているものもいた。同行の詩だけに、話がかなり盛り上がるのだろう。ふと、そこに、他とは違って年をとったトレーナーがいることに気付いた。
 「あの〜おじいさんもここで修行してるんですか」
 アスナが問いかけると、彼は元気そうな声で答えた。
 「ははは、わしも一応炎使いじゃからな。若い者にはまだまだ負けるわけにもいかんのじゃ」
 「すご〜い。熱中症にはならないんですか」
 「そうじゃな、若い時は何度かなって、周りに迷惑かけたりもしたが…」
 彼は少し声に威厳を出して、目をサングラスの奥で燃え上がらせて言った。
 「今は倒れるわけにもいかないからのう」
 「へ」
 「キミは、グレン島という島を知っているか」
 「あ〜あの火山の噴火で押し流されたかこの町、といわれているところですか」
 「幸いにも怪我人も死者も出ず、みんな避難することはできた。じゃが(ここで彼は少し暗くなって)わしは、あの島のリーダーであった」
 「ジムリーダーさんなんですか!?」
 「うむ。わしはあの島のジムリーダーであった。」
 「…じゃあ」
 「ショックは大きかったよ。もちろんな」
 「で、リーダー業はどうしてらっしゃるんですか」
 「今は双子島という近くの島でしておるよ。それでも、グレンをいつかは立て直したい」
 「そうですよね」
 「だから今はそのための活動も並行してやっておるのじゃ」
 「…」
 「…ちょっと気分を暗くさせてしまったかな」
 「あ…いや…すいません」
 「いいんじゃよ。それが普通じゃ。じゃがワシはむしろ明るくないといかんと思っておる」
 「…なぜですか」
 「リーダーが元気なくて、誰が町に活気を取り戻そうなんて言えるんじゃ」
 「…」
 「ところで普段キミは何をしているんじゃ」
 「私ですか?私はホウエン地方のフエンタウンというところでリーダーをしてます」
 「ほう…通りで先ほどからうわさになっていたわけだわい」
 彼は、笑って、ある人物を指差した。
 「彼と戦って御覧」
 「彼は…」
 「シンオウ地方というところで、どうやら四天王をやっているらしい。陽気な性格をしているが、バトルの時は戦略家でもある」
 「ちょっと話しかけてみます」
 「そうだ、キミ。ここに私の電話番号を教えておくよ」
 そう言って、彼は古びたメモ帳のページを破いて、何やら書きつけた。
 『カツラ』という名前の下に電話番号が書かれている。
 「じゃあ私のも教えておきますね」
 彼女は自分のも教えておいた。
 「こんど時間があったら電話させていただきます」
 「いつでも待っておるよ。こっちからもかけるかもしれんな」
 彼女は老人と別れると、赤い髪のアフロの青年に話しかける。
 彼もやはりこのあたりでは噂の的だったらしい。
 彼の名前は、オーバである、と彼が自己紹介した。

 #

 「…」
 見るまでもない。
 完敗である。彼女のブースター、バシャーモ、マグカルゴ、そして相棒のキュウコンまで簡単に倒されてしまった。