緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
しかし、〔ブラスト・カラミティー〕は、
魔力消費が大きい割りに、その効果範囲は、
はやての、広域攻撃魔法に比べれば、
大した事はなかったので、その後
使うことはなく、技としても
忘れられていた。
だがJS事件の際、はやてが思ったほど
活躍出来なかったこともあり、
大量の敵軍を相手にした際に有効な技を、
〔ブラスト・カラミティー〕を元にして、
考案していたのだ。
「でも『アレ』は、まだ実験中のモノだし、
私達3人が集中しなければ、使えない。
――誰かが援護してくれないと……」
フェイトの、この言葉に――
「ならば、我々が、お三方を
援護致します!」
と、声を上げたのは――
高町なのはの、元教え子達だった。
「君達?!」
驚いているなのはに、――
「お話は、聞かせていただきました」
「高町教官の訓練のおかげで、
我々は、まだほとんど無傷です」
「我々が、援護致しますので、皆さんは、
目的の大技を、思い切りぶっぱなして
ください!」
元教え子達の厚意に、なのはは、――
「その気持ちは、嬉しいけど、
みんなも結構、疲労が溜まっているし
ケガもしてる。
無茶は、させられないよ」
「なんの!
高町教官のために、ここで散れるならば、
自分は本望であります!」
「自分もであります!」
「私も!」
「俺も!」
「あたしも!」
なのはの、胸に熱いものが、
こみ上げるが――
「もう!
自分の命を粗末にするような戦い方を、
教えたつもりは、ないんだけど!」
――と、思わずどなる、なのはだった。
「はっ! 申し訳ありません!」
「皆さんも守り、
そして自分の命もきっちり守ってみせます!」
「そして、ともに勝利を!」
「ならば、良し!
それじゃ、皆、援護よろしく!」
ようやく納得して、
元教え子の、魔導師達に援護をまかせる
なのはだった。
「なのはちやん、
良い生徒、持ったもんやな……」
なのはに、声をかける、はやて。
「うん……、
はやてちゃん、フェイトちゃん、
いきなりの、ぶっつけ本番、
――ほとんど練習なしでの、
実戦テストになっちゃったけど……」
「まあ、いつもの事や。
そやけど、ウチは信じとるよ。
この3人なら、絶対に大丈夫や!」
はやてが、確信のこもった目でなのはを、見る。
「私も、なのはと、はやての、
二人だから、命を預けられる。
私もそう思う」
フェイトもありのままの、
素直な気持ちを二人に伝えた。
「……うん、ありがとう。
はやてちゃん、フェイトちゃん。
それじゃ、―――― いくよ!」
「了解、なのは」
「了解や!」
――今こそ、3人の意志と命と、その魔力、
そして3機のデバイスのチカラが
ひとつになろうとしていた!
「レイジング・ハート!」
〔スタンバイ・レディ!〕
「バルディッシュ!」
〔ゲット・セット!〕
「ええか! リイン!」
「はいっ!
いつでも、どうぞ!」
3人は、正三角形の形に円陣を組み、
お互いのデバイスの魔力回路をリンクさせた。
今、6つのチカラとイノチがひとつになる――
「空間魔力、集束!」
――なのはが、得意の魔力集束技術によって
戦闘空間に散った膨大な魔力エネルギーを
かき集め、集束していく!
――本来ならば、この集束した魔力で、
なのはは、集束魔導砲――
スターライト・ブレイカーを撃つのだが――
〔ディバイド・エナジー・スタート!〕
――なのはは、レイジング・ハートを通して
フェイトとバルディッシュへ、集束した
魔力を供給していく。
――そして、
「電気変換!」
〔ハイパー・プラズマ・バースト、スタンバイ!〕
――フェイトは、なのはから、受け取った
巨大な魔力を、その変換資質によって膨大な電力へと
変換していく――それは、凶暴な程の破壊力を生み出す。
「もう少し……もう少し」
なのはが、集め、フェイトが造りだしたエネルギーは
さらに、巨大化していく!
「エネルギー臨界突破!
いいよ! はやて!」
――フェイトの合図に、
「やるで! リイン!」
「広域砲撃制御! 照準入ります!」
――発射可能な、エネルギーを、最後に、
はやての得意とする広域攻撃魔法へと
いわば強引に変換して、ぶっぱなそうと言う
無茶と言うより、むしろ狂気の大技である!
――その威力と効果範囲は、超弩級なモノだった。
「「「 我らが命と、魔力をかけて、
――集めて放つは、超越魔砲! 」」」
「「「 トライアングル・カラミティ――――――――!!! 」」」
3人の叫びとともに、巨大な、金色に輝くプラズマ球が
宇宙に広がっていく!
まどか軍団はあわてて、回避しようとしたが、
――管理局魔導師部隊の陽動に気を取られていて
タイミングを狂わされ、――高温プラズマの輝きの中に
消えていった。
―― 「やった?!」
油断せずに、周囲を警戒しつつ、
なのはが、まどか軍団の様子を確認していると――
「ちょうどいいタイミングや!
今、シグナムから連絡きたで!
準備完了や!」
はやてが、なのはに念話通信をいれた。
「よーし、それじゃ、全員後退!
鹿目まどか軍団から、距離をとって!」
「了解です、高町一尉!」
なのはの指示に従って、管理局の魔導師部隊は
残りの、まどか軍団から、距離をとって後退した。
「?!」
―― リーダー格の鹿目まどかは、
一瞬怪訝な表情を見せるが ――
「……そうやって、最初から素直に、
道を開けてくれれば、お互いに傷つけ合わずに
すんだのに……」
悲しげな顔で、そう言い残すと、
リーダー格まどかは、残存する軍団を引き連れ、
惑星へと降下していく。
ピンク色の魔法少女達は、
大気の摩擦熱で生じた赤い炎をその身にまとい
隕石のごとく、星へと落ちていった。
「負傷者は、味方艦に緊急回収してもらって!
戦闘可能な者だけ、惑星に降下する!」
なのはは、それだけ簡単に命令すると、
惑星の大気圏に突入した。
――フェイトと、はやても、その後に続く。
◇ ◇ ◇
「来ました!
まどか軍団、惑星に降下してきます!」
惑星地上の管理局局員が叫んだ。
「来たか!」
「シグナム一尉! 転送は?」
「まだだ! 私の指示を待て!
――探知妨害と、幻術魔法のみ、術式開始!」
シグナムが空を睨みながら、返事をする。
―― 探知妨害は、まどか軍団が、転送された
住民達を追跡出来ないようにするため、
―― 幻術魔法は、後から来る増援の魔導師部隊を、
魔女達であると、誤認させるためのモノだった。
「まどか軍団、結界エリア通過します!」
局員が追加報告した。
「はやてちゃんや、なのはちゃん達、
魔導師部隊も結界エリア突入!」
今度は、シャマルが、大声で叫ぶ。
「住民の転送開始! 急げ!」
シグナムが、命令を下した。
「了解! 長距離転送開始します!」
管理局局員達が、転送システムを作動させ、
――所定の場所に集まっていた
惑星の住民達が次々と転送されていった。
――そして、
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士