譲れないモノ
「アルヴィン…」
「ぅん、なんだ?」
「……ありがとう」
半ば予想通り、返された答えにアルヴィンもひらりと片手を振って応える。
「なんだか、ちょっとすっきりした」
「優等生は溜めこむからなぁ。たまにはすっきり全部吐き出しちまえ」
「そうだね」
晴れやか、というにはほど遠いが本人の言うとおり何処か憑き物の落ちたようなすっきりとした表情を浮かべるジュードに「ホント素直だな」と肩をすくめる。
だが、だからこそ裏切り切れず、嘘をつき切れずに年甲斐もなく甘えてしまった自分がいる事をアルヴィンは知っている。
「おーおー、そのまんままっすぐ育てよー少年」
口にしたその想いを何処まで信じてくれるかは分からないが、出来るならこの想いは真実だと信じてほしいなんてガラでもない願いを込めて、返す笑みを浮かべるアルヴィンだった。
=END=