パパパンツ!
「銀ちゃん、それ見てみて」
「あぁ?」
渡されたパンツを、銀時は観察した。
色は白だ。
山になったパンツも、ほとんど全てが白だ。
ちょっとハイウエスト気味だか、それも安定した履き心地を求めるなら、全然アリなチョイスだろう。
触った感触では生地は厚めだが、汗をしっかり吸い取る上にずれたりしにくい、実用性に主眼を置いた パンツのように思える。
しかしちょっと、
「小さいか?」
「後ろ見るアル」
くるり、とパンツの裏側を見ると、そこにはブリキュアの主人公二人が描かれていた。
「何だ、こりゃ?」
もう一度表を見ると、そこには「女の子用」のタグが付けられている。
二人の視線が、土方に向けられた。
「これって、女児用、ってことか?しかもブリキュアって――お前、土方じゃなくて、 トッシーか。トッシーだろう」
「なっ…!ち、違う、誤解だ!店員さんに、女の子用のパンツどこですかって聞いたら、そのワゴンですって言われたんだよ! 隣のワゴンはレースビラビラの大人向けパンツだったんだよ!」
「へぇ、女児用のパンツをワゴンから鷲掴みねぇ」
「嫌アル。何か一番、キモイアル」
「仕方ねぇだろ!」
「しかもこんなちっさいパンツじゃ、私の育ち盛りのぷりっケツは収まり切らないネ! レースビラビラ、どんと来いヨ!買い直して来るアル!!」
神楽は土方の後ろ襟を掴むと、病室の外に投げ飛ばした。
ついでに転がったままの近藤と沖田も蹴り出す。
「立派なパンツ買って帰って来いヨ!」
良く分からない励ましの言葉を掛けて、神楽は病室のドアをぴしゃ、と閉めた。
「うーん…うーん…」
神楽はベッドの上を、もぞもぞと蠢いている。
「どうした、神楽。どっか痛いのか」
「違うアル。何かこのパンツ、収まり悪いネ」
「え?んじゃ、こっちのパンツにするか?」
がさがさと紙袋を漁り、銀時は黄色い総レースのパンツを取り出した。
神楽はそれを見ても、うーん、と唸って首を捻った。
「レースはちくちくするし、シルクは滑って落ち着かないアル…私、やっぱり普通のパンツが良いネ」
「せっかく土方に買ってきてもらったのに、どうすんだよ、この大人パンツの山。お前がこういうのが良いって言ったんだろ?」
「んー…」
「たく、しゃあねぇな」
銀時は懐から携帯を取り出すと、ぴぴぱぽ、と掛けた。
「――ああ、お妙?あのさ、パンツ買って来てくんねぇ?俺のじゃねぇよ、神楽のだよ。 領収書は真選組で貰って来てくれ。あ、後、パンツ。大量にあるんだけど、これやるよ。 ――ああ。じゃあ、よろしくー」
ぴ、と電話を切った。
「最初から、こうしとけば良かったんだよな」
「全くアル」
二人は、うんうんと頷いた。