【ゼルダの伝説】ワールドヴィネット
―――気付いたとき、少年は村の入口に立っていた。
空には既に藍色が混じり始めており、沈みかけた夕日が最後にひときわ強く輝きを放っていた。愛馬はいつものように藁の上で足を折り、もうすっかり休む姿勢を取っていた。
牧場に向かって山羊を数えてみたが、何度数えてみても朝と同じ数がきちんと揃っているのだった。
少年は頭のこぶを撫でる。首筋のちいさな傷に触れる。……そして、森の奥を目を凝らして見ようとする。木々が深い影を落としている。けれども、そこに生き物の影を確かめることは出来なかった。
少年がもういちど森に足を踏み入れるのは、印に導かれるのを待つことになる。
滴る緑の聖域、森の深みに入り込んでも、とうとうあの茶色い男には会えなかったという。
作品名:【ゼルダの伝説】ワールドヴィネット 作家名:ケマリ