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【どうぶつの森】さくら珈琲

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 ふるさとの村からタクシーも使わず全速力で走ってきたと言うリクは、腹が減ったと騒ぎ出した。
 大急ぎで朝食を振る舞うと、それはもう感激するくらい美味しそうに食べてくれる。
 起きてきたとまととヴィスは、台所で我がもの顔で食事をしているリクを呆然と見つめていた。

―――おはよう、二人とも。新入りのリクだって。こう見えてニンゲンらしいよ。
「は、はぁ、そうなんですかぁ……」

 やっぱりとまともリクの爆発頭に注目しているようだった。ちなみに、わたしがさっき触らせてもらったら、予想通りハリネズミの針みたいに固い髪の毛だった。
 何に影響されたのか知らないけれど、これが彼の言う流行な髪型だそうだ。

「おいちんちくりん、名前を教えろ!」

 リクはとまとに叫ぶ。口の中の物がぺっぺと飛んだ。

「やだ、きたなーい! ちんちくりんってあたしのことぉ!? とまとって名前があるんですぅー!」
「じゃぁお前はなんていうんだ!?」
「……ヴィス」
「そうかぁ! とまと、ヴィス! オレっちはリクってんだ! よろしくなー!」
「ちょっとぉ、あんた、こぼしたの拭きなさいよぉ!」

 あっという間に台所は騒がしくなる。牛乳が切れそうだなと思いながら、わたしは新しいフレンチトーストを焼き続ける。
 まだまだ腹ペコと言うリクのために、ポテトサラダも作ってあげるつもり。
 リクはあれがうまいこれもうまいと一つ一つほめて平らげてくれるんだもの。作り甲斐があるってもの。

「さくらさぁーん! こんな奴、追い出してくださぁい!」
―――まぁまぁ、にぎやかになって良いじゃん。

 そう言ってリクに5杯目のごはんをよそった。
 リクはやっぱり嬉しそうに食べてくれた。

「さくらって料理上手だなぁ! この玉子焼き、ほどよくしょっぱくてうまいぞー!」

 とまともリクに負けないくらい大きな声で言う。

「ちょっとぉ! さくらさんを呼び捨てしていいのはみしらぬネコさんだけなんだからぁ!」

 言っておくけど、そんな約束は誰ともしていない。そしてヴィスの方は、リクの隣でいつもと同じように黙々と食事を続けていたけれど、いつもと違って楽しそうに笑っているように見えた。なんだか、食卓が昨日と打って変わってずいぶん騒がしくなってしまったなと思った。