【どうぶつの森】さくら珈琲
「あーっ!!リーダー!!」
振り向くと、2ごうと3ごうがいた。
「もう、探したのヨ!」
2ごうは1ごうを当たり前のようにばしばし叩きながら言う。今に始まったわけではないけれど、相変わらずリーダーに対する態度ではないなと思う。
「オマエらこそリーダーが緊急事態のときに何してたんだよー!」
すると、わたしたちの間をまいごちゃんが通り抜けた。
「おかあさーん!」
3ごうの後ろに、まいごちゃんと同じ黄色いネコが立っていた。一目見て親子だとわかるくらい、よく似ている。
どうやら2ごうと3ごうはお母さんと一緒にまいごちゃんを探してくれていたらしい。
「本当に手のかかる子なんだから……無事でよかった」
お母さんはまいごちゃんを抱きしめた。まいごちゃんは泣きながら「ごめんなさーい!」と謝る。
わたしたちはそれを温かい気持ちで見守っていた。
「ご迷惑をおかけしました。本当にありがとうございます」
―――いえいえ。
「ありがと! おにーちゃん、おねーちゃん!」
ふと隣を見ると、なんと1ごうが涙ぐんでいた。こんなところで泣くなよ、とわたしは小さく小突く。
まいごちゃんは1ごうに駆け寄ると、ポケットから出した葉っぱを握らせた。
「あのね、わたしね、お兄ちゃんみたいなネコになりたいな!」
どこを見てそう言ったのかはわからないが、1ごうを真っ赤にさせるには十分だった。まいごちゃんは照れたようにお母さんの後ろに隠れると、二人は手をつないで門をくぐって帰って行った。
―――良かったねぇ。1ごう。
わたしはひやかしながら言った。何故か鼻の下を伸ばしている1ごう。
2ごうが冷たく言い放つ。
「リーダー、もしかしてあんな小さい子に熱あげてんの?」
「ち、ちげーやい!」
―――ところで、何もらったの?
葉っぱを投げると、それはピンク色のラブリーな電話へと姿を変えた。1ごうが受話器を取ると、やたらハイテンションな女性の声が響く。
『は〜い! こちら占いテレフォン! 今日のアナタのラッキーカラーは黄緑色! ちょっとした失言に注意!!』
みんなで一斉に噴き出した。小さい子ってこういうおもちゃが好きなんだね。
―――いいなぁ、わたしもお母さんになりたくなっちゃった。
「5ごう!! それはおいらに対するプロポーズってヤツか〜!?」
「バカ」と2ごうと3ごうがそろえて吐き捨てた。
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗