二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Radiant Days~I missed you~

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 


『なあ、頼むよ~最初で最後のお願い!な!奥村~頼むよ~』
携帯から聞こえる気の抜けて様な声に雪男は顔を顰めた。大学の授業が終わり、ようやくマンションについた時だった。携帯の着信が鳴り、反射的に出たのが間違いだったのだ。携帯からの連絡には常に気を配っている。それは何時、祓魔師としての任務が入るか分からないためであるが、間違っても無駄な会話を続けるためでは断じてない。
声の主は雪男の記憶が間違いでなければ、数度会話を交わした程度の同級生ではなかっただろうか。誰が番号を教えたのだろうかと眉間に皺を寄せた時だった。
携帯の向こう側がやたらと騒がしくなり、次いで聞こえてきたのは馴染みのある声だった。
『いいからちょっと代われって!――あ、奥村?俺だけど、すまん!急に連絡して』
聞こえてきたのは入学当初から付き合いのある友人だった。焦った声に元凶が誰かすぐに悟る。
「――あのさ、勝手に番号教えるなんて非常識も甚だしいね」
あえて微笑みながら言えば、さらに慌て出す声が聞こえる。違うんだ!とか誤解だ!とか浮気した男の言い訳かと突っ込みたくなるが、それではまるで自分が彼女と同じ立場ではないかと思いとどまる。何が嬉しくて、こんなバカと付き合わなくてはならないのか。
そう思ったところで、急に恋人の姿が脳裏に浮かんだ。先週まで急な任務が入ることが多く、挙げ句恋人は遠方の支部からの要請のため家を空けている。ここ二週間、碌に顔を合わせていない。唯一の手段が携帯だったため、着信先も見ずに出てしまった自分を今さらながら悔やむ。
(早く、逢いたいな……)
見上げた先、青く広がる空の色は恋人の澄んだ色に似ている気がして不意に胸が疼いた。早く。早く、逢いたい。逢って、その細い身体をこの腕の中に閉じ込めて口付けたい。
『なあ!奥村!返事してくれー!マジ、土下座でも何でもするから、見放すのだけは――!』
携帯の向うから聞こえる懇願に即座に耳から離し、シャットダウンしていた。どっと疲労感が押し寄せてくる。連日続くレポートの山と恋人不足に今にも心が折れそうなのに、余計に疲れたではないか!握りしめる携帯を今直ぐ投げ捨てたい。その衝動をなんとか堪え、エレベーターに乗り込む。目的の階に到着したと同時に深い溜息が洩れる。恋人と会えないことがこれほどまで大きく影響するとは予想外だ。雪男は再度溜息を零すと奥村のネームプレートが掲げられた扉に手を伸ばした。


作品名:Radiant Days~I missed you~ 作家名:sumire