二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

水底にて君を想う 水底【1】

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 体調が悪くても、生体コントロールで誤魔化せる賢木のことだ、無理をしているのかも知れない。
 一つ頷くと、皆本はバレットに笑ってみせる。
「ありがと、バレット。後で賢木には聞いておくよ。何なら無理にでも検査を受けさせるから」
「そんな必要ないんじゃない。先生なら今頃デートの真っ最中なんだから」
 検査室の扉が開き、紫穂が入ってくる。
 薫、葵がその後に続く。
「ただいま、皆本はん。街中で見掛けたんやけど、可愛い女性と会うてたで」
「そーそ。先生ってもっとこうで、こうなのが好きだと思ってたからちょっと意外だけど」
 身振り手振りで、薫は胸と腰を強調する。
 皆本はおかえり、と彼女達を迎える。
「仕事さぼってデートに行くような人、気を使うことないわよ」
「なんや、紫穂。機嫌が悪いと思うたら、賢木先生の事が気にな……」
 葵の言葉が途切れる。
 ニッコリ、と笑う紫穂の背後には黒いオーラが立ち上っている。
「賢木は、そんな奴じゃないよ。仕事に対しては驚くぐらい真剣なんだから。危ない仕事だって嫌な顔せず引き受けてくれる」
 それは君達も知っているだろう、と皆本は笑う。
「せ、せやな」
 葵は紫穂の黒オーラから逃れるため、急いで話題を変える。
「うちも助けてもうろうたし」
「あー、ハンドガンで飛行機の上の奴を撃ったのだよね。あれはすごかった」
 薫がうん、うんと頷く。
「ハンドガンで飛行機の上?」
「あ、バレットは知らないんだっけ。えっとね……」
 少し前、予知出動で起こった事件のことを薫はバレットに話す。
 ハンドガンで相手の武器を撃ちぬいことを教えれば、バレットはひどく興味をそそられたようだ。
「その時の映像とか残されてないですか?自分は、狙撃手として参考にしたいのですが」
「ああ、探しておくよ。もっとも賢木はラッキーだったって、言ってたけどね」
 バレットは皆本の言葉に真剣な表情になる。
 ラッキーなどで当たるものではないだろう。バレットは射撃練習場でよく賢木と会う。
 それは、賢木が銃の練習を真剣にしている、ということではないだろうか。
 いつもふざけているようでいて、そういった努力をしている人なのだろう。
 バレットは賢木に対する考えを少し改めようと思った。
 と、柏木が駆け込んでくる。
 そうとう、急いでいたのか息が切れて、顔が紅潮している。
「柏木さん!?」
 皆本の声に柏木は顔を上げて、部屋の中を見回す。
「賢木さんは!?」
「午後は休んでいますが……あの」
 柏木の様子に部屋の視線が集まる。
「よ、予知システムが……」
 切れる息で話そうとして、咳き込む柏木。
「どうしたの柏木さん」
 薫が心配そうにその腕をとる。
 微かに震えている。
 一度息を吸い込んで、背筋を伸ばす。
 柏木は皆本の方を向き直ると、ゆっくりと言葉を吐き出した。
「変動確率超度七、賢木修二の死亡が予知されました」
 空気が凍りついた。
 誰もその言葉の意味を理解できなかった。

-続く-