【Livly】誰も知らない物語
もっと血を、もっと肉を
変化がおきた。
オオカマキリを狩った日から、サファイアの本能がざわめいた。
(まだ、足りない)
明け方、まだルチルが眠っている間に、サファイアは島を抜け出しモンスターを狩った。
だが本当はリヴリーが喰らいたかった。
喉を燃やすような血がほしかった。
腹を満たす甘美な肉に喰らいつきたかった。
もちろんそれはルチルにばれないようにだが。
理性はルチルとの共存を求め、本能はリヴリーを求め。
サファイアは苦しんだ。
リヴリーとモンスターの狭間で。
あるとき、目の前に放浪中のリヴリーが現れた。
その小さなミミマキムクネは、巨大なジョロウグモを見てわなないた。
とても美味しそうだった。
バランスが崩れていった。
(もっと、もっと)
作品名:【Livly】誰も知らない物語 作家名:夕暮本舗