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【Livly】誰も知らない物語

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リーダーは何の痛みも感じなかった。
一瞬、これが死かと思ったが違う。
ルチルが立ちはだかっていた。
その爪が貫いたのはルチルの体だった。

「・・・ルチル」

リーダーはまだ信じられないといった表情で、倒れた黄色いピグミーを見つめている。
ジョロウグモは逃げ出した。
『モノクロ』の連中はそれを追いかける。
だがリーダーは動かず、ルチルに駆け寄った。
まさか自分が、馬鹿にしていたサルに助けられるなんて思わなかった。

「あのね、リーダー」

ひゅうひゅうと掠れた呼吸の音が聞こえる。とにかく死んではいない。今は。

「ぼくのこと、きらいになるかもしれないけど、サファイアは、ぼくのともだちなんだ」

ルチルは途切れ途切れに言った。
信じられない、といった表情のリーダーに続ける。

「サファイアはね、昔ね、リヴリーだったんだって・・・でもね、モンスターになっちゃった・・・って・・・
 サファイアを殺さないで、ぼくはどうなってもいいから、サファイアを、殺さないで・・・」

そしてすがるようにリーダーの腕をつかんだ。
ノワールは、いつかの飼い主の言葉を思い出していた。
愛されなかったリヴリーの、成れの果て。それがモンスター。

「俺はもうお前のリーダーじゃない」

ノワールは言った。

「俺は、ノワールだ」

貫かれた小さな体を抱きかかえ、彼は歩き出す。
ルチルは何かを考える間もなく、意識を失った。