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【Livly】誰も知らない物語

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一通り泣くと、急に恥ずかしくなったルチルは、黙って出された紅茶を飲んだ。
ジュリエットは何も言わずに、ミュラー博士の手伝いをしていた。
どのくらいの時間が経ったかわからない。
気づいたらルチルは眠ってしまっていて、朝日と共に起きるとまた目の前にミュラー博士が立っていた。

「完成したよ」

その一言で一気に眠気が吹き飛ぶ。
ルチルは出された小さなビーカーを受け取った。
中に真っ赤な液体が入っている。
これが一体、サファイアにどんな変化を与えるのかさっぱりわからなかった。

「ネオベルミンの逆の薬・・・と言えるじゃろうか。生憎時間がなくて実験はまだしてないのじゃが、私の腕を信じなさい。
 ここからが難しいが・・・これを、あのジョロウグモに飲ませるんじゃ。出来るか?」

ルチルはうなづき、深く頭を下げた。そのときまたポロリと涙が落ちた。
ジュリエットにもお礼を言い、大事に大事にビーカーを持って走り出す。
終わりが始まろうとしていた。


もうほとんどのリヴリーが避難したのか、どこにも人影は見当たらない。
それでもルチルはサファイアの姿を探した。
パーク中を走り回る。
無残な血の跡があり、余計胸が痛んだ。
だがどこにもサファイアの姿は見当たらなかった。
心当たりを必死に頭の中で探る。

(もしかして)

ルチルは、自分の島に戻った。



そして、ルチルは見つけることになる。
変わり果てたサファイアの姿を。