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【Livly】誰も知らない物語

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こんなに大きな生き物を、初めて見た。
そうこれが、人間だった。
しかし、大きな体とは裏腹に、とても優しい顔をしていた。
顔に何か硬そうな透明の丸い板をかけて、白い服を着ている。
初めて見る生き物に、ルチルは一瞬用件を忘れるほど驚いてしまった。
ミュラー博士の方もルチルの来訪に眼を見開いた。

「どうしたんじゃ?他のリヴリーたちはみんな避難しておる。君も早く・・・」

「助けたいんです!!」

はっきりと叫んだ。どんなに大きな声で叫んでも届かない気がした。

「今あばれてるモンスター、サファイアは、リヴリーだったんです!ぼくは、ぼくはサファイアを助けたいんです、だって、だってサファイアはぼくの・・・」

ともだち?
何か、違うと思った。
言葉に当てはめてしまうと、違う。
もっと大切で愛おしくて、言葉にできなくて。
そんな感情、そんな大切なもの。
それがずっと、二人の間にあった。

ミュラー博士も信じられないようだった
だが訴えるピグミーをしばらく見つめて、やがて笑顔を見せた。

「わかった。やれるだけのことはやってみよう」

そして彼は机の向こうにいる紫色のピグミークローンに言った。

「ジュリエット、小さなお客さんのために茶でも入れてやってくれ。わしは急いで調合をするよ」

ジュリエットは小さなマグカップに温かい紅茶を入れ、ルチルに差し出した。
そしてタオルも渡す。

「さあ、これで顔を拭いて。あなた、涙で顔がぐしゃぐしゃよ」

ルチルは無意識に自分の頬に触れる。
手に、透明な雫がついた。

「なみだ・・・」

気づくと、余計ぼろぼろと止まらなかった。

溢れてしまう。
泣くのって、こんなに辛くて、苦しい。
やがてあらんかぎりの声をあげて、ルチルは泣き叫んだ。
いくら泣いても足りない気がした。
ずっとずっと泣いていた。