【Livly】誰も知らない物語
「なんて名前なの・・・?」
それでも勇気を出して、どんどん、ルチルは近づく。
彼自身も恐れるように、手が震える。何を恐れているのだろう。それは、本人にもわからない。
「・・・ねえ」
ともだちになってくれる?
ルチルがその言葉を言い終える前に、ジョロウグモは、再びルチルを突き飛ばした。
そして、ピグミーが怯んだ隙に、そのジョロウグモは島から逃げていった。
ルチルの方は呆然と、逃げていくジョロウグモの後ろ姿を見つめているだけ。
また、彼の心を、孤独が突き刺した。それは攻撃されたときよりもずっとずっと、痛く、冷たかった。
作品名:【Livly】誰も知らない物語 作家名:夕暮本舗