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いい夫婦の日『臨帝の場合』

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臨也は別に帝人と付き合ってはいない。
だが、からかってみるのもいいのではないのかと見つけた姿に思った。

「やあ、学校帰り?」
「臨也さんは遊び帰りですか?」
「仕事って選択肢はないんだ……」

苦く笑いながら臨也は否定しない。

「ねえ、帝人君。今日は11月22日。何の日か知ってる?」
「回転寿司記念日ですよね! さっき広告配ってました!!」

クーポンつきのチラシを帝人は広げる。
見慣れた文字に臨也は思わず「はあ?」と疑問の声を上げてしまう。
見間違える筈がなく『露西亜寿司』と書いてある。

「板前さんがお寿司を回しながら出してくれるんじゃないですかね」
「何それ、ちょっと面白い。よし、行こうか。驕ってあげる」
「いいですよ。悪いです」
「素直に甘えなよ、苦学生」

遠慮する帝人を引っ張って臨也は露西亜寿司を目指して歩いていく。
池袋の喧嘩人形に顔を合わせることも考えたが問題ないだろう。
今日一日は借金の取立てに走り回っているはずだ。

(平穏は大事だよね)

臨也が笑っている理由が分かっていない帝人は首を傾げていたが説明する気はない。