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近距離恋愛

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そういえば今日は帰りに降るってテレビで言ってたな、と鞄の中に手を突っ込み折りたたみ傘を漁っていると、傘らしきものに全くぶつからない。
(ん、待てよ、もしかして教室か?)
今朝は担任が廊下に見えて慌てて教室に駆け込んで、そのときに机の横にかけたような、という曖昧な記憶を頼りに教室に向かうと、教室のドアの隙間からかすかな光が漏れていた。
まだ残ってる奴がいるのか。少し驚きながらドアを開けると、本田が一人ぽつんと本を前にして机に伏せて眠っていた。あまりに気持ち良さそうに寝ていたので起こすのも悪いような気がして、足音に気をつけながら彼の席を通り過ぎて自分の席にたどり着くと、やはり机の横には深緑色の折りたたみ傘がぶら下がっていた。やっぱりか。
それを手にとって、それから少し迷いながら、でもそろそろ下校させないとまずいよな、と彼の机に近づくと左の頬を下にして眠っている彼の寝顔に俺の両目は吸い寄せられる。彼の綺麗な肌、黒くてさらりと頬にかかっている柔らかそうな髪、意外に長い睫毛、それらの全てが一枚の美しい絵画のようで思わず息を呑んだ。が、

「って、おい、これ俺が購入希望申請した七巻じゃねーかよ!!借りたのお前だったのか!!」
「……ん……はい?あれ、会長…?」

という、出来事をきっかけに俺と本田――今は菊と呼んでいる――は友人と呼べるくらいまで共に過ごしてきた。



作品名:近距離恋愛 作家名:ヤト*