ストロベリー&ティー
「ふふ。そうですね、今日は十一月二十二日でしょう?」
「まぁ、そうだな」
「十一をいち、いち、二十二をふたつ、ふたつと読んで、頭文字を取った語呂合わせです」
「って言うと……い・い・ふ・ふ?」
「ふとふの間を伸ばすと?」
「い・い・ふーふ……いい夫婦?」
「はい。今日はいい夫婦の日、って私の国では言ってるんです」
「え、それって」
「これからもよろしくお願いしますね、イギリスさん」
言うが早いか、日本は呆気にとられているイギリスの唇にキスを落とした。
イギリスは目を数回しばたたかせ、やっと日本の言葉と状況を理解したらしく、火照りだした頬を押さえ、小声で、
「よろしく、日本」
とつぶやいた。
「本当にかわいらしい旦那さんですね」
「ちょっ、に、日本! 旦那って!」
「夫婦の日、でしょう?」
「何でそうさらっと……! つーか、お前嫁でいいのかよ!?」
「イギリスさんが嫁になってくれるんだったら文句なく交代しますよ? むしろそちらの方がいいですね」
「日本っ!」
日本が堪えきれず吹き出すと、イギリスもつられたように笑い出した。二人の笑い声が部屋の中を暖かく満たす。
少し酸っぱいイチゴのタルトと砂糖をたっぷり入れた甘い紅茶の相性は、他の何よりも抜群だった。
作品名:ストロベリー&ティー 作家名:風歌