Disparition ~ 消えた歌姫
太陽の問いかけに、博士は哀しげに微笑みながら言葉を続ける。
「彼女 ― ミクはね、私が初めて作り上げたボーカロイドで、そして…四ノ宮くんが初めて担当した歌い手でもあるんだよ」
「っ!なんですって!?先輩がボカロをっ!?」
太陽はもうわけがわからなくなっていた。あれほどボーカロイドに否定的な圭一が初めて担当したのがボーカロイドとはどういうことか。
「…ミクが『消えて』しまった事故 ― 『初音ミクの消失』事件のきっかけになったのは、四ノ宮くんなんだよ」
「………………」驚きすぎてもう声も出ない。リルも固唾を飲んで次の言葉を待っている。
「これから話すことはね、君たちにとっても重要な話だ…君たちの未来にとって…。とてもとても哀しい、必死になって運命に抗った二人の物語だよ…」
― 続く
作品名:Disparition ~ 消えた歌姫 作家名:あきのそら