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投げられた指輪

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「ここはどこ?」
栗色の髪を持つ少女は、白い空間をただひたすら歩いていた。
それも何日も何日も。
時々、不安になりくじけそうになるのに、そんな少女の胸を奮い立たされるものがあった。
「私の心に呼びかけられるその声は一体何なの?」
わからなかった。
少女の足はこんなに歩いているにも関わらず、一向に疲れない。
もちろんお腹だって空いてこない。
少女は、その白い何もない空間をただひたすら歩く。
少女の心の呼びかけられる声に従って。
「嫌よ。
あたし、そっちへ行きたくないの!
 あたし何か遣り残している何かがあるような気がするの!」
「まだ、そちらには行きたくない。」
「ああ!どうしても足が云うことをきかない。」
少女は焦りながら、心に纏わり付いてくる甘い呼びかけには抗ってみるも、それは容易なことではなかった。
しかし、一方で、その甘い誘惑に従いなさいと自分の中のもう1人がささやく。
その声に従うのはまるで正しいことのように。

突然少女の体は光に包まれた。
あまりの眩しさに目を閉じた。

「ここは・・・どこ?」

少女が着いた場所は、

ーーそこは少女にとってとても綺麗な場所だった。

少女は目を見張った。

まるで空の上を歩いているかのようにふわふわとした感触だった。
光の向こうを目を凝らして見て見ると、見知った土地が見えた。
ゼフィーリア。
そこには一面の葡萄畑が見えた。
葡萄がなる時期は時期は人手がたくさん出てにぎわっているのに、光の先に見える葡萄畑には人がおらず閑散としていた。
少女は不思議に思った。
でも、そこに行かなければならないという衝動にさいなまれ、自然と足はそちらの方に向いていた。

「リナさん・・・リナさん!」

少女は不意に右肩をぐっと掴まれ振り向いた。
その振り向いた先には、嫌というほど見慣れた顔がそこにあった。
「ゼロス?」
少女の口からその闇をまとった神官の青年の名前がすらりと出てきた。
いつもは人を惑わすかのような笑顔を張り付かせているはずなのに、
青年の顔には笑顔がなかった。
代わりに細く目を見開き、苦々しい表情をしている。
「-なによ!」
怪訝な青年の顔つきに、少女がその表情にとっさに言おうとする前に、青年は、
「どうしてあなたがここにいるのですか!」
そう少女に詰め寄った。
その声は驚きに満ちていた。
「あなたはここにいるはずのない人でしょう?
 帰るべき場所があるなら帰りなさい!」
いつになく真剣で激しい剣幕の青年に気圧されしてしまった少女はキョトンとした顔になり、しばらく呆けていた。
そして、我に返ると少女は困ったようになり、
「帰れっていうけど、
 あんた知ってる?
 あたしがどこに帰れば良いのか。」
その答えに青年の顔はみるみる内に青ざめていく。
彼はまさかと呟いて。
少女を見た。
「あなたは帰り道がわからなくなってしまったのですね?!」
コクコク。
少女は頷いた。
それよりも何よりも今いるこの場所は本当に心地よい場所だが、なぜか自分はここにいてはいけないような気がしてソワソワした。
光の先に行かなくてはいけないと誰かの甘い声に促されているようだ。
それが、焦燥感となって自分を急き立てるのだ。
「急いだら間に合うかもしれません!」
青年は言うが早いか、一瞬のうちに少女の体を抱き上げると一瞬のうちにその美しい場所から消えた。
作品名:投げられた指輪 作家名:ワルス虎