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こらぼでほすと ケーキ3

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翌日、散歩がてらに大型ショッピングモールまで、ティエリアと出向いた。食材のほうは、粗方準備は完了しているから、他にお菓子や乾きモノのツマミを買うぐらいのことだ。だから、慌てることもないので、ぶらぶらとウインドウショッピングを楽しんでいる。
「ニール、ニール、これは、どうですか? 」
 何がなんでも親猫にプレゼントを買うのだ、と、紫子猫が張り切っているので、適当に店を眺めている。いくつかの店のショーウインドウで紫子猫は立ち止まり、親猫に、これはどうだ? こちらなら使えないか? と、尋ねてくれる。親猫のほうは適当に流して相槌を打っていたのだが、紫子猫の指差したブツに、ちょっと目を留めた。文字盤が深い緑色の時計だったからだ。それ以外は黒で統一された洗練されたデザインで、親猫ですら、綺麗だと思った。
「ほら、あなたの目の色と似ている。それに、綺麗だ。」
 親猫が興味を持ったので、紫子猫は、すぐに買いに行こう、と、言うのだが、さすがに親猫は、その腕を掴んで止めた。
「ティエリア、その時計の値段を見ろ。」
 もちろん、売り物だから値段のカードもついている。桁数が九桁になるモノは、そんな衝動買いのできる代物ではない。
「これは高いのですか? 」
「べらぼうに高いよ。こんなもの、普段使いにするもんじゃない。」
「ですが、あなた、気に入りましたよね? 」
「綺麗だとは思うけど、欲しいとは思わないな。」
 庶民派貧乏性の親猫には、とても使える代物ではない。仕事で使うなら、値段がどうこう言うつもりはないが、今の仕事で、こんなものを使う必要はない。時計というアイテムは、今のところ、携帯端末で十分に活用できているし、こんなものをつけて家事をするバカもいない。
「ですが、大した値段では・・・・」
「大した値段なの。それ、おまえの服がいくつ買えると思う? 生涯毎日、取り替えても問題ないぐらいだぞ? 」
 組織で使用する機材からすれば、高くない、と、ティエリアは思っているのだろう。確かに、ミサイル一基が買えるかどうかの値段ではあるが、日常生活レベルの話ではない。廉価版のコートを着ているティエリアは、それがわからないので、解りやすい例えをしてみる。
「確かに、そうですが・・・。」
「おまえが気に入って、自分でつけるというなら買ってもいいが、俺はいらない。」
 ティエリアも個人資産はある。ほとんど手はつけていないはずだから、これぐらいの買い物はできるだろう。だが、宇宙空間で生活している人間に、これは使えるかどうかは微妙なところだ。耐圧やら防水やらはされているたろうが、それでも宇宙で使う仕様のものではないから壊れるに違いない。
「俺は必要ではない。」
「うん、そうだろうな。」
 ティエリアも、そこいらは理解しているから、この返事だ。見たいなら、店に入るか? と、言ったが、首は横に振られた。
「じゃあ、何が欲しいんですか? 」
「これといってないんだが・・・ああ、そうだ。おまえさん、その革靴だと寒いだろ? ブーツを買おう。」
 いつも通りの革靴でやってきたティエリアは足元が寒そうだ。ボアのついた短靴のブーツなら防寒になるからいいだろう、と、ニールは、そちらの店に歩き出す。俺のものじゃなくて、あなたのものだ、と、叫びつつ紫子猫も走り出す。





 一方、フリーダムは予定通りにラボに帰還していた。整備への報告やら、今回、赴いた地域の情報やらの整理で、一息ついたのは、午後近い時間だ。仮眠するのももどかしく、黒子猫は別荘から本宅へ送れ、と、ハイネに言い出した。胡乱な目で、ハイネが黒子猫を上から下に眺めて息を吐く。
「その格好で帰るつもりか? おまえ、泥だらけの上に油臭いんだがな? せつニャン。」
 帰還したままの格好であるから、どろどろの状態だ。さらに整備の手伝いもしていたから、ぷーんと油の匂いなんてものもする状態の黒子猫は、はっきり言って汚い。
「問題はない。寺へ戻ったら着替える。」
「いや、今すぐ洗えっっ。そんな汚い状態でヘリに乗せられるかっっ。」
 刹那たちの着替えは、別荘に用意がある。とりあえずは、洗って着替えさせて多少の見栄えは良くしておくべきだ。怒鳴っていたら、キラが現れたのは幸いだ。
「おかえり、刹那。わぁーいつにも増して、すごいことになってるね? 」
「作業を急いだから、着替える時間はなかった。」
「うん、ご苦労様。データは解析させてもらうよ。とりあえず着替えようか? そんな格好だと、ママに叱られる。」
 はい、行くよーと、キラが黒子猫の服の端を掴んで連れ出した。とりあえず、この格好であちこち動かれるのはキラでも気になるらしい。残ったアスランは、ハイネにニールからの連絡を伝える。朝からメールで、刹那は連れて来て欲しい、という連絡が入っていた。もちろん、ティエリアの予定は予想通りのものではあったが、刹那と直接、交渉させるとのことだ。携帯端末で、アスランが直接連絡して、その辺りのことも詳しく確認はした。
「エクシアを解体させるってか? アスラン。」
「いや、逆だ。刹那とティエリアで話し合せて、エクシアの解体如何は決めさせるんだそうだ。喧嘩になったら、ニールが取り成すそうだ。」
 三蔵に過保護にするな、と、叱られた顛末まで、アスランは聞いたので、大笑いしている。それを聞いて、ハイネも苦笑する。まあ、そうなのだ。刹那は、今年、成人する年だ。自分で処理できるのだから、親猫がしゃしゃり出て来る必要はない。
「それに、アレハレのお祝いだろ? それには参加してもらったほうがいい。」
「確かにな。じゃあ、アスラン。ヘリの移動は頼んでいいか? 俺はせつニャンのデータの解析にかかりたいんだ。」
「そうだな。刹那を送り届けて戻って来るよ。キラも解析には付き合うだろうから、俺も後から参加する。」
「おおよその分析は先にしておく。」
 刹那が持ち帰った生の情報は重要だ。その解析は優先すべきものだから、ハイネは、そちらに取り掛かる。アスランも本宅まで刹那を送ったら、それには参加する。アローズの動きや最新鋭機の情報を確保するほうが重要だ。


 刹那は、本宅のスタッフに寺まで送ってもらって帰ってきた。時間的には、そろそろ親猫は昼寝から起きているだろう。そう思っていたら、珍しい生き物と遭遇した。境内の隅っこに紫子猫が蹲っていたからだ。普通は、マイスター同士なのだし、久しぶりに顔を見たのだから近寄って声ぐらいかけるものだが、黒子猫はスルーで玄関に飛び込む。そんなものより重要なものがあったからだ。居間に顔を出すと、坊主がこたつで書類仕事をしている。目線で挨拶だけすると、台所へ向かう。こちらでは、親猫が何かいい匂いのする作業をしているところだ。
「おお、お帰り、刹那。」
「ただいま、ニール。」
作品名:こらぼでほすと ケーキ3 作家名:篠義