千年王国
世界の最果ての群狼の島のほとりで、肩まである黒髪をなびかせ、神官服を着ている男がたたずんでいた。
にこやかな笑顔。
端正な顔つき。
一見好青年に見えるこの男。
名前をゼロスという。
この男、実は曲者。
こんな風体に見えるが、かなりの高位の魔族であるのだ。
魔族というのは文字通り、このスレイヤーズの世界に置いて正に『魔』の位置づけ。
『魔』以外の何者でもないのだ。
それと同時に、すべての母なるものへの帰属欲求愛が彼らの体を構成しているといっても過言ではない。
そんな彼は、高位の魔族であるが、
しかし、それでも上には上がいる。
彼の所属している生活環境は完全なる縦社会。
この青年はいつだって上司の言いつけを守り、日々の業務に追われていた。
やってもやっても永遠に終わらないこの業務に、彼はより一層の下僕体質を深めていった。
そんな彼の上司は彼の産みの母である女主人ゼラス=メタリオム。
別名『獣王』と呼ばれている。
カールした癖のある金髪を持ち、金の瞳は誰もが目を離せないほどの美しさと強さを備えていた絶世の美女だ。
そんな彼女の本性は巨大な白い獣であるが、彼女はこの人間の女性の姿を好んでいた。
また、大変な気まぐれやだ。
そう。だから、魔族の青年であるぜロスはいつだって主人のことに悩ませされ続けられているのだ。
だって、ここは縦社会!
女性は主人で彼は部下。もとい下僕!
それに、いつの時代も男性は女性に振り回されるものと相場は決まっているのだから。
ゼロスはいつものように自分を思って、深々とため息をついた。
「ゼラスさま・・・きまぐれなのは構わないのですけれども、
でも、一体全体どこに行かれてしまったのですか?」
彼は心のなかでぼやいた。
彼の女主人は時々、部下である彼にも告げずに、ふいっといなくなってしまうことが多いいのだ。
そして、たいていはその気配を消してしまうのだ。
誰にもばれないように。
なので、行き先を彼に言わなければ、ゼロスは女主人がどこにいるのか皆目検討もつかなかった。
しかし、そういう雲隠れは、たいていは2〜3日すれば、戻ってきている。
よくあることだ。
きっと、主人のことだ。
堅苦しいことは嫌いだから、自分の羽の伸ばせる場所へとくつろぎに行っているに違いない。
人間で言うところの、『バカンス』だ。
ものわかりのよいゼロスは、余計な詮索をして女主人の機嫌を損ねるようなことは、今までないに等しかった。
ちょっとでも主人の機嫌を損ねるようねへまをしたら、自分に倍になって制裁が下るに違いないから。
しかし、今回は違っていたのだ。
彼は、群狼の島で女主人の気配を一生懸命に探していた。
ゼロスは思っていた。
彼の女主人はひよっこり帰ってきて。
ワインをつげだのお使いにいってこいだの玉座について何気なく指示を出すかと思っていた。
しかし、彼の女主人は、もう3ヶ月も姿を見せていないのだ。
あの方に限ってまさかねぇ!という思いと、心配性な自分がいる。
だから、とにかく何でもいいから、女主人の気配を少しでも!という思いで、彼は目を閉じ世界の波動を感じているときだった。
にこやかな笑顔。
端正な顔つき。
一見好青年に見えるこの男。
名前をゼロスという。
この男、実は曲者。
こんな風体に見えるが、かなりの高位の魔族であるのだ。
魔族というのは文字通り、このスレイヤーズの世界に置いて正に『魔』の位置づけ。
『魔』以外の何者でもないのだ。
それと同時に、すべての母なるものへの帰属欲求愛が彼らの体を構成しているといっても過言ではない。
そんな彼は、高位の魔族であるが、
しかし、それでも上には上がいる。
彼の所属している生活環境は完全なる縦社会。
この青年はいつだって上司の言いつけを守り、日々の業務に追われていた。
やってもやっても永遠に終わらないこの業務に、彼はより一層の下僕体質を深めていった。
そんな彼の上司は彼の産みの母である女主人ゼラス=メタリオム。
別名『獣王』と呼ばれている。
カールした癖のある金髪を持ち、金の瞳は誰もが目を離せないほどの美しさと強さを備えていた絶世の美女だ。
そんな彼女の本性は巨大な白い獣であるが、彼女はこの人間の女性の姿を好んでいた。
また、大変な気まぐれやだ。
そう。だから、魔族の青年であるぜロスはいつだって主人のことに悩ませされ続けられているのだ。
だって、ここは縦社会!
女性は主人で彼は部下。もとい下僕!
それに、いつの時代も男性は女性に振り回されるものと相場は決まっているのだから。
ゼロスはいつものように自分を思って、深々とため息をついた。
「ゼラスさま・・・きまぐれなのは構わないのですけれども、
でも、一体全体どこに行かれてしまったのですか?」
彼は心のなかでぼやいた。
彼の女主人は時々、部下である彼にも告げずに、ふいっといなくなってしまうことが多いいのだ。
そして、たいていはその気配を消してしまうのだ。
誰にもばれないように。
なので、行き先を彼に言わなければ、ゼロスは女主人がどこにいるのか皆目検討もつかなかった。
しかし、そういう雲隠れは、たいていは2〜3日すれば、戻ってきている。
よくあることだ。
きっと、主人のことだ。
堅苦しいことは嫌いだから、自分の羽の伸ばせる場所へとくつろぎに行っているに違いない。
人間で言うところの、『バカンス』だ。
ものわかりのよいゼロスは、余計な詮索をして女主人の機嫌を損ねるようなことは、今までないに等しかった。
ちょっとでも主人の機嫌を損ねるようねへまをしたら、自分に倍になって制裁が下るに違いないから。
しかし、今回は違っていたのだ。
彼は、群狼の島で女主人の気配を一生懸命に探していた。
ゼロスは思っていた。
彼の女主人はひよっこり帰ってきて。
ワインをつげだのお使いにいってこいだの玉座について何気なく指示を出すかと思っていた。
しかし、彼の女主人は、もう3ヶ月も姿を見せていないのだ。
あの方に限ってまさかねぇ!という思いと、心配性な自分がいる。
だから、とにかく何でもいいから、女主人の気配を少しでも!という思いで、彼は目を閉じ世界の波動を感じているときだった。