Da CapoⅨ
戸惑いの昼休み
----静かな夜が好きだった。
過去形だが、今は何よりも君と君の音楽に触れられるこの時間が…。
廊下で君にすれ違う。
随分熱心だな、と出逢うたびに一つ余計な言葉を君にかける。
本当はどう言ったら良いのだろう。
俺は、君に対しては本当の気持ちを言っているつもりだ。
君が頑張っている事への理解はしている。
だから先日、予約できなかった練習室を君とシェアしたのだ。
とても恐縮しながら君は俺の好意を受け取ってくれた。
「ありがとう」
照れた顔に、何故か俺の頬も染まっている…それが分かった。
だから顔を勢いよく逸らした。
何故か、君が謝罪してきた。
俺のその行動が気になったという。
(気にする必要などない…)
ただ、俺は君の音楽を独占したいだけなのかもしれない。
ふと思う、そういう結論が浮かんだのだ。
一緒に弾いていると、世界の色が変わる。
俺の人生の中にあっただろう、気がつけなかった色。
心の目を開かせ、心をの眠りを解いた。
不思議な音の響きと、君と言う存在。
おかしな感覚を体が抱いて、頭で処理しきれなくなっているのが俺自身分かっている。
何だろうか、これは…。