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翔ちゃんが『セクシー』に挑戦しました

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「帰ったら、そのネクタイをもう一度、僕に解かせてもらえませんか」
言いざま、かぷ、と翔の耳たぶを唇に挟んだ。
ビクリと震えて、翔はとっさに那月を突き放す。
「へ、んなこと言うな!」
「あれ、ダメですか」
「ダメだ!」
はあはあと肩で息をしながら、精いっぱい強がって見せる。
「うーん、残念です。耳元で囁いたら堕ちると思ったんですけど」
残念、と肩をすくめて笑う那月には、翔が那月の声に弱いことがお見通しのようだった。
天然のくせに、ちょっと意地悪な恋人にいつも振り回されっぱなしだ。
だからたまにはアイツを驚かせてやりたい。
すうっと息を吸い込み、翔はキッと那月を見上げる。
那月のネクタイをひっぱり、自分の背丈までかがませると男らしくこう言い放った。
「今度は俺がお前のネクタイほどくんだよ!」
那月の目が丸くなって、その次に声をあげて笑い、翔を抱きしめた。

「翔ちゃんって最高です」

耳元で囁くその声は、恋人だけに聞こえるボリュームだった。

END