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葎@ついったー
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die vier Jahreszeite 010

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参ったなチクショウ,と悪あがきで着込んでたブルゾンのファスナを目一杯引き上げて両手をポケットに突っ込んでチビの後をのんびり追った。

チビは,というと一本のでかい木の下で黒々とした幹に手をつき空を覆うように伸びる枝を見上げていた。

「何してんだ?」
「リス,が」
「リスぅ?そんなんいるかよこんな街中に」
「いた」
「マジでか?」

こくこく,と真顔で頷くチビから視線を逸らし,俺も大きく張り巡らされた枝を見上げる。
冬でも葉を落とさないところを見るとジョウリョクジュ,てことはわかったけど,それ以上のことはわからない。
だいたいこの公園に来たのも初めてだ。
いつもバイトの帰りに公園の向こう側の通りを自転車で通り抜けるから存在は知ってたけどよ。
だいたいもう公園で遊ぶって齢でもねぇしな。
どうでもいいことを考えていると,どこかでかさかさと葉ずれの音がした。
風だ,と思ったが頬に触れる空気は動いていない。
え,マジかよ,マジでリスいんのか?と目を凝らすがどこを見たって葉と枝だけで生き物っぽいのは見つけられなかった。

視線を下に下ろすと,チビも真剣な顔で見上げている。
俺はふ,と思い立ってしゃがみ込むと,チビを肩の上に担ぎ上げた。
イワユルあれだ。肩車ってやつ。

「に,兄さん!」
「痛ぇ!バッカ,髪引っ張んな!」

俺が喚くとチビの手が髪からはずれ,代わりに額にあったけー掌が触れた。

「よしよし,それでいい。これならちったーよく見えるだろ?リス見つけたら教えろ」

頭を動かさないようにして目だけ仰向いて云うと,真っ赤な頬っぺたと鼻の頭をしたチビが生真面目な顔で頷いた。

それからしばらくの間,俺はチビを担いだままでっかい木の下をぐるぐると歩き回った。
おかげで身体はあったまるし,首元はチビの体温で寒さが遮られて一石二鳥。
別に考えてやったことじゃねーけど,つくづく俺は頭がいいぜ!

リス?
なんかそれっぽいのは何度か木の上の方で動いてたけど,多分あれがそうなんだろ。