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君と僕との逆転話-序章-

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――りぃぃん
学園を覆う深い森の中。何年も駆け回ったこの森は、すでに三之助の庭と呼べるものだった。駆け回った森で一人彼は足を止めた。耳に金属特有の甲高い音が届いたからだ。
眉を寄せた彼は、助走をつけることもせず、側にあった自分の背丈の三倍もある枝に飛び乗る。辺りに視線を飛ばし、上空に、木々の合間に器用に張られた糸を確認する。
「西側か」
先ほどの音の箇所を確認した三之助は小さく一人ごちると別の木へと次から次へと飛び移った。
「先輩ら、先に行ってくれてると助か……」
段々と近づく気配と、その人数を面倒に思いながら希望を言葉に乗せる。しかし、その近くにあった別の気配に彼は表情を変えた。
まずい、と言葉にする労力すら惜しい。誰も聞かない言葉を口にするよりも、足に力を込めたほうが早い。
鈴の音が一度で止まった、ということは件の人物は移動していない、それとも気づいたかのどちらか。しかし山に張り巡らされている合図はそれだけではないし、第一学園から連絡用狼煙はあがっていない。つまり、学園はいつもの迷い人と判断したということ。けれど、巡回役員である三之助が関知した気配の人数と、側にある後輩の気配。まずいと彼の本能が叫んだ。
先輩に連絡しなければ。
懐の武器を確認し、同時に学園きっての絡繰コンビが作り出した発煙筒を地面に投げ捨て、忍術学園四年ろ組、次屋三之助は後輩と学園の警戒線を切った人物たちの間に飛び降りた。


作品名:君と僕との逆転話-序章- 作家名:まどか