ラヴ 永遠の恋人
月が中天にかかる頃
アムロはシャアに抱き寄せられてシートに仰向けになったまま、暗赤褐色と化した満月を眺めていた。
「この月は、貴様のようだな」
アムロは何も考える事なく、頭に浮かんだ言葉を口にした。
アムロを抱き込んでいたシャアの腕に力が入る。
「・・・・アムロ・・・・・・」
シャアの声が切なさを滲ませてアムロの名を呼んだ。
「何?」
アムロは月を眺めたまま、シャアの声に返事をした。
シャアは無言でアムロの髪に顔を埋めると、深く深呼吸をした後にアムロの耳に唇を押し当てた。
「私の、永遠の恋人(ラヴ)、アムロ。君に再びめぐり合えた奇跡に、深く感謝している。いつまでも私の手の届く処に居てくれたまえ。過去・現在・未来。私の全てはアムロ。君と共にある」
囁くようでいて強い想いが込められたシャアの言葉を聞きながら、アムロの胸には安堵と幸福感がひたひたと満ちていったのだった。
再び輝きを取り戻しつつある、満月のように
2011/12/12