二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと ケーキ10

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
土曜日は、全員がスーツ姿で、高級会席料理なるものを食べた。ホテルの高層階の店で夜景も綺麗だったし、料理もおいしくて綺麗なものだった。それを四人で、わいわいしながら食事した。その料金は、トダカ以外にはわからなかったが、とんでもない数字だっただろうとは思われた。トダカは、そんなものマルッきりスルーでご機嫌で料理をアテにスイスイと酒を呑んでいた。酌をするのは、ニールで、その相手をするのはレイだ。シンとニールは食前酒だけで、後はノンアルコールで付き合った。せっかくの料理だから最後まで素面で楽しめ、と、トダカが命じたので、シンも酒には手を出さなかった。
「会席もコースになっているから順番が決まっている。酢の物が出たら、後は食事とデザートだから、それまでに飲み物も飲んでおくのが基本だよ? こういう堅苦しい席も、そろそろ、おまえたちも出ることがあるだろうね。」
「俺、途中でメシ食いたいな。」
「それはルール違反だ。カジュアルなものだったら注文すれば用意してくれるが、正式な席では無理だぞ、シン。」
「ふーん、フランス料理とかはパンがあるのにな。」
「会席は酒がパンの代わりってとこだな。レイ、冷酒ばりかでいいのかい? 燗酒も試すかい? 」
「そうですね。トダカさんが一緒に飲んでくださるなら。ママも温かいものを用意してもらいましょうか? 」
「そうだな。お茶でも頼んでくれ。」
「俺、ジンジャーエール。」
 個室なので、レイが内線へ連絡する。すると、次の料理に合わせて、それも運ばれて来た。お茶だと思っていたら、あまり甘くない生姜湯というものが用意されていた。メニューになくても、飲めない客がいれば、それらも考えてくれるらしい。
「それ、ひとくち。」
「熱そうだから気をつけろ、シン。」
 ニールの飲み物のいい香りに、シンが手を出す。確かに腹から温まる感じの飲み物だ。
「あんま甘くないな。」
「どれどれ。・・・ははあ、これはスープ仕立てなんだな。」
 本来の生姜湯ではなくて、スープ仕立てになっている、と、トダカが味見して説明してくれた。食事の合いの手としては、甘いものより、このほうが合うからだ。そんな感じで、のんびりと料理を食べて会話を楽しんだ。特区独特の料理を公式に食事したことのなかったシンとレイは大満足した。



 翌日、朝から台所でレイとニールが弁当作成を始めた。買い忘れたものをシンがひとっ走りしている間に、大きな皿に色とりどりのおにぎりが製作されていた。
「なんじゃ、これは。」
 シンが台所へ駆け込むと、そう怒鳴る。トダカも居間から、顔を出して、へぇーと感嘆の声をあげた。
「レイのリクエスト。漬物の葉で包んだの、桜でんぷをまぶしたの、海苔巻いたの、肉で巻いたの、たくあんを刻んで混ぜたの、こっちはシャケ、鯛の焼いたのを混ぜてある。あと、シソのが紫のやつな。昆布もあるぞ。」
 レイが頼んだのは、ティエリアが先日、持って帰ったものの豪華版だ。刹那にもしてやったが、それは三種類だった。レイは、それを見たというので、種類を増やしたのだ。要は中身をまぶしてしまう方法だから、色とりどりになる。そして、レイは揚げ物を担当している。エビフライ、チューリップ、一口カツだ。他にはホカホカと湯気を上げている出し巻きが冷まされているし、サラダもすでに製作されている。もちろん、煮物もあるし、豪華版だ。
「すげぇー。ねーさん、すげぇーよっっ。これ、短時間で作れるもんなのか。」
「切ってまぶすだけだぜ? シン。普通は中に入ってるんだけど、あれより、こっちのほうが食べやすいって好評なんだよ。」
 毎日のように悟空のお弁当をしているから、毎日日替わりメニューを考えると、こういうものも有効だ。
「でも、娘さん、これ多すぎないか? 」
 大皿二枚に、たんまりと作られているおにぎりはシンとレイをもってしても完食てきる量より多い、と、トダカが指摘した。
「入りきらないのは冷凍しておきますから、トダカさんのおやつにしてください。これならレンジで二分です。」
「それは嬉しいな。お茶漬けにしても良さそうだ。」
 やもめ暮らしのトダカには、こういう小腹が空いたら、というメニューはない。これなら、ちょいとレンジすれば食べられるおやつになる。
「いや、俺が責任を持って食う。心して食うっっ。」
「シン、これ、多めにしてるから無理だって。おかず入らないぞ? 」
 なにせ、これにおかずも大量にあるのだ。とてもではないが入らない。ちっっとシンは舌打ちして、一個をツマミ食いする。それぐらいでは、どうということもないから、そのまんま放置で冷えたものから重箱に詰める作業になる。トダカ家は毎年、新年に御節を通販しているから重箱なんてものもある。それらに詰め込んでみると、綺麗に三段のお重が完成する。
「ところで、遠足って目的地は? 」
 そういや聞いてなかったな、と、ニールが尋ねると、「オーナーの別荘。」という返事だ。
「俺、入れるかな? 出禁食らってるけど。」
「キラさんに頼んで、別荘には入れる許可貰った。あそこなら芝生広いし人目もないだろ? それに、ねーさんの昼寝もできるしさ。」
 出かけるのはいいのだが、ニールは午後から一時間ばかり昼寝をしないとならない。そこいらも考慮して、さらにイベントの予定も考えたら、そこになった。別荘の庭は広い。奥のほうへ探検がてらに進んでいれば、別荘で準備していても、ニールにはわからないだろうというところだ。




「本当に行かないんですか? 三蔵。あなたの奥さんの誕生日祝いなんですよ? 」
「暗黒妖怪が出没してるようなとこへ行けるか。」
「でもさ、さんぞー。晩飯、あっちで食うから、さんぞーは食いっぱぐれるぜ? 」
「チンすりゃ食えるもんがある。泊まりか? 悟空。」
「泊まりになりそーだな。春休みだし。」
 悟空は春休みだから、ウィークデーは夕方まで暇だ、たまに、大学の運動部から助っ人の呼び出しを受けたりはしているが、それもない日だった。サプライズで騒ごうということで、店の人間は手隙なら集合ということで連絡が廻って来た。そういうイベントごとを仕切るのは八戒とアスランだから、沙・猪夫夫は悟空を誘いに寺へ出向いていた。まあ、坊主はいいのだ。どうせ行かない。一応、誘っておかないと拗ねると面倒だから、八戒が声をかけただけだ。すでに、悟浄はクルマでスタンバイ状態で、坊主なんかスルーの方向だ。
「俺は行かん。さっさと行け。」
「わかりました。悟空、鬼畜マイペース坊主は放置しましょう。」
「しゃーねぇーなー。別に、歌姫さんは暴れないし人も食わないのに。」
 問題は、そこではないが、悟空も、そう言って立ち上がる。行けば、女房への花束贈呈とか愛の言葉とか、いろいろとさせられるだろうから、坊主は行きたくないのだが、そこまではわからない。八戒は、そこいらも理解しているから簡単に誘って断られたから玄関へ歩き出す。

 クルマを発進させてから、悟浄は、へへへへ・・と人の悪い笑い声を上げている。こちらも、坊主が嫌がっている理由は理解してのことだ。
「まあ、わざわざ行かないだろうな。」
「そういうもんか? 」