二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

past 前編

INDEX|3ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 




始まりの場所、リゼンブールに到着した二人はウィンリーの家に向かった。
いつ来ても変わらない景色、空気、風。
旅の間にも何度か戻ってきてはいるこの地だが、いつも以上に気持ちが落ち着くのを感じていた。

「なぁ、アル。」

「なぁに?兄さん。」

「お前はどうするんだ?」

エドワードは自分の進む道ばかり気にしていて、
アルフォンスがこれからどうするかをまだ聞いていなかったのだ。

「僕は医者になりたい。今まで出来なかった勉強を沢山したいんだ。」

「そっか。頑張れ。」

「うん。」

「アル、俺は中央に行く。」

「僕もいつかは。」

「でもさ、俺たちの故郷はここだよな。」

「うん。」

「それは絶対に変わらない。」

「そうだね。」


ワンワン!!

ゆっくり話しながら歩いていると、もうウィンリーの家はすぐそこだった。
デンが二人を見つけ、走ってくる。


「「デンっ!!」」

ワンワン!!!

「エドーーアルーーー!!」

ウィンリーが玄関の前に立って手を振っている。
エドワードとアルフォンスは家に向かって走り出す。
デンもまた来た道を二人に続いて走り出す。

「おかえり。」

「「ただいま。」」

玄関のドアが開き、中からピナコが顔を出す。

「よく帰ってきたね。おかえり。」

「「ただいま」」


その日の夜は全員で食卓を囲んだ。
明日はいよいよ体を元に戻す。
緊張もしているが、それ以上に喜びが勝っていた。

「美味かったご馳走さん。」

「ご馳走様。」

「んじゃおやすみ。」

「おやすみなさい。」

「エド、アル、おやすみ。」

二人はリビングを後にして、家を燃やして以来、使わせてもらってる部屋に向かった。
そしてその日の晩は、二人で語り明かした。
今までのこと、これからのこと、失った人たち、出会った仲間たち、
話が尽きることは無かった。


そして、夜が明け朝陽が上った。
二人は部屋の窓から綺麗な朝陽を眺めた。

朝食を終え、二人が向かった場所は母、トリシャの墓。
その横には父、ホーエンハイムの墓が建っていた。


「ばっちゃんにお礼言わなきゃね。」

「あぁ、そうだな。」

「母さん…」



しばらくそうした後、
二人は静かに立ち上がり、ふり返ることなくその場を後にした。

「アル、心の準備は出来てるか?」

「兄さんこそ。」

「行くぞ。」

「行こう。」


二人は自分達が住んでいた家の跡から少し歩いた所にある丘に向かった。
そこでこの旅を終わらせるのだ。
歩く度、足に当たる草が背中を押してくれているようだった。

二人の足取りは軽かった。


エドワードが深呼吸する。
アルフォンスが深呼吸する。





パンッッッ!!!!!








この瞬間、俺達の人生は狂った。

作品名:past 前編 作家名:おこた