past 前編
未来の幸せを信じていた俺達にとってあまりにも残酷な仕打ち。
待っていたものは幸せからは程遠いもの。
アル・・・・
ごめんな、
また俺はお前を間違った道に導いた。
お前には苦しい思いばかりさせてる。
本当にごめん。
アル、お前だけでも幸せにしてみせる。
俺の分も幸せになってくれ。
兄さん、
僕達は何を間違ったの?
僕達の何がいけなかったの?
どうして、兄さんばかり苦しむの?
僕はいつだって守られてばかりだ・・・・
兄さん、幸せになって・・お願いだよ。
一軒の宿が真っ赤な炎に包まれた。
真っ赤な炎は真っ黒な煙を吐き出しながら訴える。
殺してやる―――
その宿は1時間程前までエドワードが寝ていた宿。
この宿で3軒目、いつかセントラルから宿が消えるかもしれない。
それは決して過言ではないだろう。
エドワードはひたすら走り続けていた。
あの炎から逃れるために。
「はぁっはぁっはぁっ・・・っ・・・」
走りながら涙を流すエドワード。
こんなことがあと何回続けば終わるのだろう。
こんなことをあと何回繰り返せば夢から覚めるのだろう。
撃たれた肩からは容赦なく血が流れ出ていく。
路地に逃げ込み、身を潜めつつ息を整える。
見つかれば殺される。
あの炎に殺される。
あの炎、
あの焔に・・・・・
大佐に・・・・殺される。