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スピカ@黒桜
スピカ@黒桜
novelistID. 28069
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先手必勝

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二回目の会議がもうすぐ始まることで私は心底うんざりしていた
次々と集まりだした方々と挨拶を交わしその度に作り笑いを顔に浮かべる
本当に、ムカムカする
気分が悪くて仕方がない
こんなときに美しい恋人の助けを求めたくなるものの、2人の関係は秘密という事になっていて帰るまではお預けも同然だ
しかし彼に嫌われたくないがために私は我慢を続けていた


・・・のだけれども、


本日も会議開始数分前丁度にやってきたアーサーさんはいつものようにあくまで軽い挨拶を交わすだけだと思ったのに、こちらにツカツカ歩いてきたかと思うと私の体をギュウと昨夜の続きのように抱きしめて
「菊、おはよう」
と言った
よりによって人が集まっている中心で!
集まっていた方々は当然、こちらを凝視する
「アーサーさん、ちょっ、何が」
すると極限まで小さくした声で彼が耳元でささやいた
「ごめん、俺もう我慢するの嫌になった。これからは会議中でもイチャイチャしたい」
「アーサーさん・・・」
それはもう我慢しなくていいということですか?と問うと
yesの代わりに口付が降ってきた





そんな二人の光景を会場入りしたアルフレッドは呆然と見つめていた
「ウソ、だろ・・・?」
なんでアーサーが?の思いでいっぱいだった
彼が菊への好意を示したことはあっただろうか?
それに何より、菊が、あの菊が他人に触れられるのを拒絶していない、
「そんな、だって菊は、菊は、」
彼が他人に触れられるのを極度に嫌うのは知っていた。だからこそ信じられない光景だった
それはアーサーによる周囲の者への牽制でもあったし、何よりも菊の心はすでにこの二枚舌の紳士が手に入れたことを強く物語っていた
「あーあ、先越されちゃったね」
フランシスが同じく呆然とした面持ちで呟く
そう、恋は先手必勝
遅れたものに勝ち目はない。
アーサーの翠の瞳が菊に向ける愛欲に満ちた光を一時抑えてちらりとこちらを見た
その瞳には勝者のみが手に入れる優越感に満ちており、何より自分が負けたことを手痛く突きつけられた
作品名:先手必勝 作家名:スピカ@黒桜