先手必勝
会議も終わり、夜の支配が空を覆った頃、ホテルの一室に俺はいた
無論、菊も
「菊、今日の会議辛かった?」
「はい・・・もう本当に何なんですか、アルフレッドさんは同意を求めるのならそれに値するだけのまっとうな意見を出して欲しいです、バッシュさんは銃を持って喝を飛ばさないで欲しいです、いいえって言ったら殺されますアレ、イヴァンさんはもっと性が悪い、私が何時貴方の物になると言ったのですか?意味が分かりませんフランシスさんは今回はアーサーさんが止めて下さったから良い物の、普段なら薔薇オンリーで近づいてくるのですからああ、もう」
菊の薄いピンク色の唇がとめどなく動いてつらつらと愚痴を並べ立てる
「あーさーさん、私もう限界です。ヘルプミー」
「ごめんな、俺も髭野郎止めておくだけで精一杯なんだ」
「貴方以外なにもいりません。二人だけの世界ならよかったのに・・・」
「それヤンデレってやつか?」
「本当に病んでやりましょうか」
ギュウって細い肩を抱きしめると少しビクッってはねた
こんなエロ大使だのという不謹慎なあだ名を付けられている俺だが菊にはキスさえもしていない。ハグ止まりだ
嘘じゃない。本当だぞ!
・・・でも、それも今日でやめにしよう
神様、キスは、キスぐらいは許してください。
「きく、きく、きく、大好き。愛してる。」
「どうなさったんですか一体?」
「俺の物、俺だけの、可愛い菊」
その口を俺の唇でふさぐ
一瞬だけ驚いたように黒目がちの瞳が丸くなったけどすぐに蕩けて柔らかくなった
手に入れた。君の体も、心も、何もかも。
等しく、俺のすべてを君に捧げよう。