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【シンジャ】Love Collection【C81】

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★不感症ネタ★

(始まり部分略)

「そんな事があったのか。それで、これがその薬という訳か」
 昨日の出来事をシンドバッドに伝えると、手に持っている瓶を見ながらシンドバッドはそう言った。シンドバッドが手に持っているのは、昨日ヤムライハから渡されたどんな鈍感な相手も敏感にするという薬である。
 昨日の出来事を伝えたといっても、勿論全てを包み隠さず話した訳では無い。女性と出て行っている所を見た事は言わない方が良いだろうと判断したので、その事については言わなかった。
「はい」
「ピスティからそう思われても仕方が無いな」
 瓶を見詰めたままシンドバッドが言った台詞は、彼女に下手であるという事を思われている事に対して言ったものなのだろう。それに対して何も言う事が出来無かった。
 それは、感じる事が出来無いのは、シンドバッドが下手であるからだと自分も思っているからという訳では無い。感じ無い為自分では分からないのだが、シンドバッドは決して下手では無いのだろう。一度寝たら忘れる事が出来無いほど上手いという噂があるぐらいなのだから。何も言う事が出来無かったのは、そう言ったシンドバッドの言い方が自嘲気味のものであったからだ。
「それで、お前はどうしたいんだ?」
 自分がどうしたいのかという事が分かっていて、シンドバッドはそう訊いて来たのだろう。どうするのか決まっていなければ、こんな時間にここを訪ねたりしない。
 ジャーファルが居るのは、紫獅塔にあるシンドバッドの寝室であった。そして、彼がシンドバッドの元を訪ねたのは、仕事が終わり食事を終わらせた時間であった。
「……飲んでみようと思います」
「お前の気持ちは嬉しいが、無理はしなくて良いんだぞ」
 そう言ったシンドバッドの声は、胸が痛くなるほど優しいものであった。
「無理はしていません。はっきり言うと飲みたいです」
 自分の発言を聞きシンドバッドが驚いた様子へとなった。
「あなたが私の事を気遣ってくれている事が分かっていながらも、あなたが抱く相手にずっと嫉妬していました」
「……そんな風に思っていたのか」
 渋い声でそう言ったシンドバッドに対して直ぐに言葉を続けた。
「その事を言えばあなたが他の相手と寝る事を躊躇するようになると思い、今までその事を言わずに来ました。……今まで感じた事が無いので、これを飲んだらどんな風に自分がなるのかという事が全く想像できません。もしかしたら、あなたから軽蔑されるような姿になるかもしれません。そんな姿になっても、軽蔑しないで下さい」
「どんな姿になってもお前を軽蔑したりしない。後悔するような事をもしもしてしまった場合は、薬のせいだと思えば良い」
「有り難うございます」
 自分に気を遣ってくれているシンドバッドに対してそう言うと、手に持っている瓶を彼が差し出して来た。
 ヤムライハから渡された瓶は、菱形をした蓋が付いた物である。濃い青色をその瓶がしている為、中に入っている液体が何色をしているのかという事は、瓶の外からでは分からなかった。どんな色をしているのだろうかという事を思いながら蓋を開けた。
 薬のような物であるので薬のような匂いがするのだと思っていたのだが、瓶の中に入っている液体は何の匂いもしなかった。
「何の匂いもしないんだな」
 瓶を見ながらシンドバッドがそう言った事から、何か匂いがするのだと彼も思っていたのだという事が分かった。
「そうですね」
 何も匂いがしないのでどんな味がするのかという事を想像する事が出来無い。どんな味がするのだろうという事を考えながら瓶に口を付け、瓶の中身を飲んで行く。
「どんな味がするんだ?」
 瓶の中身を飲み終えると共にシンドバッドはそう言った。瓶の中身がどんな味がするのかという事が、彼も気になっていたようである。
「何の味もしませんでした。まるで水を飲んでいるようでした」
「ほお」
 シンドバッドがそう言ってこちらに手を差し出して来たので、中身を飲み干してしまった為空になっている瓶を渡した。
「効果が出るまでどのぐらい掛かるんだ?」
「即効性があると言っていました」
「そうか」
 じろじろと瓶を見ていたシンドバッドは、そう言うと満足したのか空になっている瓶をこちらに差し出して来た。
「効果が出るまで何かしていて下さっても良いですよ」
 シンドバッドから受け取った瓶を邪魔にならない場所まで持って行こうと思い、寝台に腰を下ろしている彼をそこに残し寝台を離れた。シンドバッドと閨を共にするつもりでここにやって来ているので、先程までの話しは全て寝台の上で行っていた。
「いや、効果が出るまでこのまま待ってる事にする」
「そうですか」
 寝室の中にある飾り棚の上に瓶を置き寝台へと戻ると、シンドバッドが手招きをした。
「何ですか?」
 こちらに来いという意味である事は分かっていたので、そう言いながらシンドバッドの方に近づいて行くと、胡座を掻く格好から片膝を立てる格好に変わると共にこちらに手を伸ばして来た。頭に触れた彼の手が動くままに頭を動かしていくと、シンドバッドの足に頭を預ける格好になった。
「撫でてみたいと思っただけだ」
 そんな言葉の通り、シンドバッドは自分の髪を撫で始めた。
 こんな格好を人に見られたら困る事になるという事を思っていたが、この格好を嫌がるつもりは無かった。それは、この部屋に居る限り誰かに見られる事は無いという事が分かっていたからだけでは無い。彼に髪を撫でられたいと思っていたからだ。
「感心するほど綺麗な髪をしているな」
 髪を撫でながらそう言ったシンドバッドの声は、何かを思い出しているように聞こえるものであった。
「侍女からもよく言われます。特別何かしている訳では無いんですがね」
 侍女の話をわざわざ持ち出したのは、他人の事を話す事によって胸が詰まるような思いを誤魔化す為である。シンドバッドが思い出しているのは、昨日抱いた女性の事である事が分かっていた。
 女性の肩を抱いている彼の姿を思い出し、胸が痛くなった。感じる事が出来無いのならば、そんな気持ちも感じない体でありたかった。昨日見た光景を頭の中から追い出しながら拳を強く握っていると、髪を撫でる手が止まった。
「何か変化はあったか?」
「……体が少し熱くなって来たぐらいですかね」
「どうやら効いて来たみたいだな」
 先程飲んだ薬とは関係が無い理由で体が熱くなっているのだと思っていたのだが、そうでは無く先程の薬が原因であると彼は思っているようだ。
「何故そうだと分かるんですか?」
「そういうものだからだ」
「そういうものだからですか……」
 シンドバッドの言葉を納得する事は出来無かったが、それに反論をするつもりは無かった。本当に効いているのだろうかという事を思っていると、シンドバッドに顎を指で掴まれる。
「口付けをしても良いか?」
「……はい」
 シンドバッドの質問に返事をした後体を起こすと、彼の顔がこちらへと近づいて来る。瞼を閉じるとシンドバッドの唇が自分のそれに重なって来た。
「んっ……」
 いつもと違う。