上条『ドラゴン騎士団?』
「不幸だぁーーーー!!!」
それは必然だった。
「不幸だぁ・・・」
それは日常だった。
「・・・はぁ、不幸だ・・・」
それは運命だった。
とある魔術の禁書目録
×
ドラゴン騎士団
二次創作
上条『ドラゴン騎士団?』
第一章≪少年と少女は幻想で交わる≫
季節は春。
ツンツン頭がトレードマークの少年こと上条当麻は、いつものように不景気な顔で、いつものように涙目で、いつものようにとぼとぼと公園を歩いていた。
「・・・はぁ、不幸だ」
学園都市の木々は彼から何度その言葉を聴いただろう。少年は携帯の画面を見つめながら溜息を吐く。
ーーーーー
16:45
トーマ×←○セロリ
【戦果】
300000ギル奪われた!!!
ーーーーー
奪われたのはオンライン上の架空の通貨である。もちろん現金に換えることもできないし、いくら貯めても貧乏学生の生活水準を向上することはできない。
が、それでも奪われることはショックであるし、それがギルメンから預かった通貨ならなおさらショックなのは当然だった。
(土御門が俺を信じて預けてくれたのに・・・)
『かみやーん。今日インできそうにないにゃー。だから余分なギル預かってくれにゃー』
『おー、大切なギルメンの頼みなら、この上条さん喜んで預かりますよー』
『・・・私の分も・・・』
『・・・姫神はやってないだろ?』
『・・・うん。このマジカルケータイは通話でしか使ってない』
『それ家電の子機だよね!?』
「・・・まぁ、過ぎたことを後悔しないのが上条さんの良いところですよ・・・と?」
携帯電話をズボンのポケットにしまい、視線を前方に戻すとそこには・・・、
「げっ・・・、ビリビリ」
目の前には常盤台のエースにして学園都市第三位『超電磁砲』(レールガン)こと御坂美琴がいた。常盤台のお嬢様でファンが無数にいる美少女である彼女に対して上条当麻が『げっ』と言った理由は二つある。
一つはこの公園で会うと必ず勝負を挑まれるからだ。
まるで世紀末の覇者と救世主が出会ったかのように、それは起きる。宿命の時とはまさにこのことだ。
もう一つは、上条当麻の不幸特性と御坂美琴の能力『電気使い』が重なった時に想定される出来事、そう『携帯の破損』である。
今までならば、不幸のバーゲンセールである彼なら携帯電話の一個や二個破壊されたところで、暇ができた時に携帯ショップへ行けばいい話なのだが、彼には携帯を守らねばならない理由があった。
「よ、よぉ御坂・・・」
なるべく穏便に逃げようと、いつもは呼ばない名字で話しかける。
「・・・・・・・」
が、少女は反応しない。一点を見つめたまま、何かに集中している。
「気づかないなら、上条さんはそのまま帰りますよー・・・って、え―――」
つい、本当に不可抗力で少女の視線を追ってしまった。そして、気づく。
「ビリビリ!!! お前もドラ騎士やってたのか!!?」
知り合いが同じゲームをやっていたという理由からテンションが上がり、つい少女を指さしながら叫んでしまった。
「・・・へぇっ!? な、なに!? 痴漢!?」
御坂美琴はまだ中学生だ。出来事が飛躍することなど思春期まっさかりの彼女にとって日常茶飯事だ。肩まで伸びるさらさらの髪の毛が不自然に逆立つ。
「ちょ、ちょーーーーっとタンマ!!! 俺です!! 上条当麻です!!!!」
電撃、回避、携帯ポロリ、グシャッ。上条当麻は瞬時に未来を予測し、全力で阻止に入った。
「へ、へっ、へ!? ななななっ、なんであんたがこんなところにいるのよっ!!!」
何故か顔を真っ赤にして叫ぶ御坂美琴がそこにいた。どういった理由か分からないが、電撃攻撃がこなかったことは、上条当麻にとってギルが奪われたことを差し引いてもお釣りがくるくらい幸運な出来事だった。一般人からすれば電撃の攻撃が来る時点で不幸なのだが。
「なんでって・・・そりゃ俺の通学路だからな。それよりビリビリもドラ騎士やってんだな」
ドラ騎士―――。その言葉が耳に入った瞬間、御坂美琴はおよそ日本新記録であろう跳躍を見せ、上条当麻から距離を置いた。その表情は涙目で、その顔色は真っ赤であり、理由は分からないが『恥ずかしい』気持ちからの行動であることは上条当麻も読みとれた。
「や、やややや、やってるわよっ! 黒子がどうしてもやってほしいって言うから仕方なく、そう!本当は嫌だったけど仕方なくやってあげてるのよ!! どう!? 分かった!? 分かったでしょ!? 分かったら返事しなさいよごらぁあああああああ!!!」
上条当麻が途中から御坂美琴の言葉を聞き取り不可能だったのは、電撃を浴びた木々だけが知っている。
パキィーーーン!!!
電撃が上条当麻に当たる寸前、彼の伸ばした右手が電撃をきれいさっぱり打ち消した。ごく少数しか知らないが、レベル0『無能力者』であると学園都市に判断された彼の右手には異脳を打ち消す力『幻想殺し』(イマジンブレイカー)が宿っている。
(あ、あぶねぇえええええ! 今携帯壊れたらせっかく回復した任務要員無駄にするところだった!!)
上条当麻の安心とは裏腹に、御坂美琴の心配は加速していく。
(見られたっ!? 見られたのあれを!!?)
画面を確認すれば御坂美琴の心配は払拭されるのだが、ある種の恐怖からそれができなかった。
―――結論から述べれば、そこには彼女の考えている『恥ずかしいこと』が映っていた。
ーーーーー
☆当日個人三位☆
ユーザー名
【上条美琴】
一言
『その幻想を打ち抜くわよっ!!!』
ーーーーー
結果を言えば上条当麻はドラ騎士特有の背景が見えただけで、文字など読めていない。が、そんなことを上条美琴…いや御坂美琴が知るよしもなく、
「その記憶焼き消させろぉおおおおおお!!!」
全力の電撃を浴びせる少女の姿がそこにはあった。そして、
「だぁあああ!!! 不幸だぁぁああああああ!!!」
もはや恒例行事になりつつある少年の姿がそこにはあった。
第一章 完
それは必然だった。
「不幸だぁ・・・」
それは日常だった。
「・・・はぁ、不幸だ・・・」
それは運命だった。
とある魔術の禁書目録
×
ドラゴン騎士団
二次創作
上条『ドラゴン騎士団?』
第一章≪少年と少女は幻想で交わる≫
季節は春。
ツンツン頭がトレードマークの少年こと上条当麻は、いつものように不景気な顔で、いつものように涙目で、いつものようにとぼとぼと公園を歩いていた。
「・・・はぁ、不幸だ」
学園都市の木々は彼から何度その言葉を聴いただろう。少年は携帯の画面を見つめながら溜息を吐く。
ーーーーー
16:45
トーマ×←○セロリ
【戦果】
300000ギル奪われた!!!
ーーーーー
奪われたのはオンライン上の架空の通貨である。もちろん現金に換えることもできないし、いくら貯めても貧乏学生の生活水準を向上することはできない。
が、それでも奪われることはショックであるし、それがギルメンから預かった通貨ならなおさらショックなのは当然だった。
(土御門が俺を信じて預けてくれたのに・・・)
『かみやーん。今日インできそうにないにゃー。だから余分なギル預かってくれにゃー』
『おー、大切なギルメンの頼みなら、この上条さん喜んで預かりますよー』
『・・・私の分も・・・』
『・・・姫神はやってないだろ?』
『・・・うん。このマジカルケータイは通話でしか使ってない』
『それ家電の子機だよね!?』
「・・・まぁ、過ぎたことを後悔しないのが上条さんの良いところですよ・・・と?」
携帯電話をズボンのポケットにしまい、視線を前方に戻すとそこには・・・、
「げっ・・・、ビリビリ」
目の前には常盤台のエースにして学園都市第三位『超電磁砲』(レールガン)こと御坂美琴がいた。常盤台のお嬢様でファンが無数にいる美少女である彼女に対して上条当麻が『げっ』と言った理由は二つある。
一つはこの公園で会うと必ず勝負を挑まれるからだ。
まるで世紀末の覇者と救世主が出会ったかのように、それは起きる。宿命の時とはまさにこのことだ。
もう一つは、上条当麻の不幸特性と御坂美琴の能力『電気使い』が重なった時に想定される出来事、そう『携帯の破損』である。
今までならば、不幸のバーゲンセールである彼なら携帯電話の一個や二個破壊されたところで、暇ができた時に携帯ショップへ行けばいい話なのだが、彼には携帯を守らねばならない理由があった。
「よ、よぉ御坂・・・」
なるべく穏便に逃げようと、いつもは呼ばない名字で話しかける。
「・・・・・・・」
が、少女は反応しない。一点を見つめたまま、何かに集中している。
「気づかないなら、上条さんはそのまま帰りますよー・・・って、え―――」
つい、本当に不可抗力で少女の視線を追ってしまった。そして、気づく。
「ビリビリ!!! お前もドラ騎士やってたのか!!?」
知り合いが同じゲームをやっていたという理由からテンションが上がり、つい少女を指さしながら叫んでしまった。
「・・・へぇっ!? な、なに!? 痴漢!?」
御坂美琴はまだ中学生だ。出来事が飛躍することなど思春期まっさかりの彼女にとって日常茶飯事だ。肩まで伸びるさらさらの髪の毛が不自然に逆立つ。
「ちょ、ちょーーーーっとタンマ!!! 俺です!! 上条当麻です!!!!」
電撃、回避、携帯ポロリ、グシャッ。上条当麻は瞬時に未来を予測し、全力で阻止に入った。
「へ、へっ、へ!? ななななっ、なんであんたがこんなところにいるのよっ!!!」
何故か顔を真っ赤にして叫ぶ御坂美琴がそこにいた。どういった理由か分からないが、電撃攻撃がこなかったことは、上条当麻にとってギルが奪われたことを差し引いてもお釣りがくるくらい幸運な出来事だった。一般人からすれば電撃の攻撃が来る時点で不幸なのだが。
「なんでって・・・そりゃ俺の通学路だからな。それよりビリビリもドラ騎士やってんだな」
ドラ騎士―――。その言葉が耳に入った瞬間、御坂美琴はおよそ日本新記録であろう跳躍を見せ、上条当麻から距離を置いた。その表情は涙目で、その顔色は真っ赤であり、理由は分からないが『恥ずかしい』気持ちからの行動であることは上条当麻も読みとれた。
「や、やややや、やってるわよっ! 黒子がどうしてもやってほしいって言うから仕方なく、そう!本当は嫌だったけど仕方なくやってあげてるのよ!! どう!? 分かった!? 分かったでしょ!? 分かったら返事しなさいよごらぁあああああああ!!!」
上条当麻が途中から御坂美琴の言葉を聞き取り不可能だったのは、電撃を浴びた木々だけが知っている。
パキィーーーン!!!
電撃が上条当麻に当たる寸前、彼の伸ばした右手が電撃をきれいさっぱり打ち消した。ごく少数しか知らないが、レベル0『無能力者』であると学園都市に判断された彼の右手には異脳を打ち消す力『幻想殺し』(イマジンブレイカー)が宿っている。
(あ、あぶねぇえええええ! 今携帯壊れたらせっかく回復した任務要員無駄にするところだった!!)
上条当麻の安心とは裏腹に、御坂美琴の心配は加速していく。
(見られたっ!? 見られたのあれを!!?)
画面を確認すれば御坂美琴の心配は払拭されるのだが、ある種の恐怖からそれができなかった。
―――結論から述べれば、そこには彼女の考えている『恥ずかしいこと』が映っていた。
ーーーーー
☆当日個人三位☆
ユーザー名
【上条美琴】
一言
『その幻想を打ち抜くわよっ!!!』
ーーーーー
結果を言えば上条当麻はドラ騎士特有の背景が見えただけで、文字など読めていない。が、そんなことを上条美琴…いや御坂美琴が知るよしもなく、
「その記憶焼き消させろぉおおおおおお!!!」
全力の電撃を浴びせる少女の姿がそこにはあった。そして、
「だぁあああ!!! 不幸だぁぁああああああ!!!」
もはや恒例行事になりつつある少年の姿がそこにはあった。
第一章 完
作品名:上条『ドラゴン騎士団?』 作家名:桜丸あき