上条『ドラゴン騎士団?』
第二章≪始まりはいつもあの子≫
第1話【スマゲーですわよっ♪佐天涙子さん♪】
学園都市はその名前の通り、学園が主体の能力開発都市だ。
つまり学生が大半を占めるこの世界に、およそ風俗業というものが流行る余地はない。
しかし、例外はいくつかある。
ゲーム、ファッション、そして携帯コンテンツ。
中でも、携帯コンテンツは能力開発という熾烈な争いの中に身を投じる彼らにとって、
課金という制度の差はあれど、癒しと満足感を与えた。
そして、ジャッジメントの一人も・・・、
「・・・こ、これは!?」
常盤台学生寮の部屋に響きわたる妖艶な声。
「――ん~? むにゃむにゃ・・・、こんな夜中になによぉ?」
少女趣味、と仲間内からからかわれることもあるパジャマ姿で、御坂美琴はベッドから起き上がる。
「・・・い、いえいえ、なんでもないですわっ」
妖艶な声の主、――白井黒子はネグリジェ姿を見せ付けるように美琴に反応した。
「こんな夜中に起こさないでよねー…おやすみぃ。・・・とうまぁ、どこ触ってんのよえへへー」
寝ぼけたお姉さまも素敵ですわー、そう言いかけて黒子は頭を殴った。
「ほほほ、おやすみなさいですの」
いつもなら飛びかかるのだが、白井黒子にはやらねばならないことがあった。
ーーーーー
FROM 佐天涙子
内容
やっほー白井さん。
今、スマゲーっていう携帯ゲームやってるんだけど、招待受けてくれないかな?
ジャッジメントの白井さんがやる暇はないかもしれないけど、もしかしたら白井さんみたいな人がハマるかもしれないし!
これ、私にそっくりでしょ?
≪涙子そっくりのアバター画像≫
初春バージョンはこれね(´∀`*)
≪初春そっくりのアバター画像≫
良かったら白井さんのも作ってあげるし、・・・いや、白井さんは御坂さんのアバターが欲しいかな?(  ̄ー ̄)*キラン
そんな訳で、良かったらよろしくー♪
≪スマゲー紹介のURL≫
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佐天涙子がミーハーであり、ネット好きであることはよく知っている。そのせいで迷惑かけられることもしばしばだ。
だが、今回ばかりは感謝しなければいけないのかもしれない。
黒子はものすごい勢いでスマゲーを登録すると、涙子にメールを返した。
○佐天涙子の部屋○
Tシャツにジーパン。それが佐天涙子の絶対的な私服だ。フリフリしたのは初春飾利で十分、大人な服は白井さんで十分、子供服は御坂さんで十分だ。
涙子はメール画面を見てガッツポーズをとる。
「おっ、きたきたー♪白井さんは絶対やると思ったんだよねー♪初春は強制だったけど」
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FROM 白井さん1号(仮)
内容
早く、私のアバとお姉さまのアバを創るですの。
白井黒子
≪黒子のURL≫
御坂美琴
≪美琴のURL≫
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「・・・し、白井さんらしいと言えばらしいメール内容だね・・・」
初春だったらしばらくモアイ像になってただろうな。涙子は笑いながら黒子のURLを開く。
「・・・ん?」
ユーザー名
【御坂黒子】
「・・・あはは、そうきたか」
彼女の執着心に呆れながらも、涙子は瞬く間にアバターを黒子仕様に変更していく。初回登録時のお試しコインと学園都市用のお試しコインを使えば、アバターくらいなら無料で作れる。そして、できあがりと同時に涙子は再びガッツポーズをとった。
「よしっ、できたぁ♪」
そして、黒子に完成のメールを送り、続いて美琴のURLを開く。
ユーザー名
【白井美琴】
「・・・それって、意味あるのかな」
夫婦を演じたいのなら同姓にすべきでは、と涙子は考えたが、白井黒子の脳みそはおよそ8割が御坂美琴のエキスでできていることからも、彼女の意図を掴むことはできないだろうと諦めた。
『メールですわよ♪佐天涙子さんっ♪』
着信メールが鳴った。
以前初春が常盤台のお嬢様風の喋りをしてたのが面白かったので、無理を言って着ボイスにしたのだが、今でもそれを使っている。
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FROM 白井さん1号(仮)
内容
お姉さまのアバは1000コイン課金致しましたのでよりお姉さまらしくお願いします。
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「・・・・・・」
要望通り御坂さんそっくりのアバターを創り、白井さんに送る。そして、静かに携帯の電源を落とした。
○常盤台女子寮○
「ぶはぁ!!!」
「こらぁ黒子ぉ!とーまといいところだったんだから起こすなぁ!!!・・・って、今の忘れろごらぁあああ!!」
「佐天さんにお礼のメールを10万字くらいで表現したいですわ!!!」
「・・・うるさい」
「「寮長!!」」
夜は更けていく。。。
続く。
作品名:上条『ドラゴン騎士団?』 作家名:桜丸あき