二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

クリスマス連続短編集

INDEX|1ページ/6ページ|

次のページ
 

①普墺「クリスマスにお悩み中!」



 買い物にでも行こうかと玄関のドアを開けると、プロイセンがこの寒い中仁王立ちしていた。
「何をしてるのですか、お馬鹿さん」
「これでもかってくらい一本調子だな!? もう少しいい反応しろよ、俺様が来てやったんだぜ?」
「そうですねありがとうございます」
「だーかーらー!」
「どうせ、いらないことをしてドイツに家から追い出されたのでしょう? 今日くらい素直に二人きりにしてあげればいいものを」
「ヴェストはイタリアちゃんの家に行っちまったから家にはいないぜ?」
「あぁ、一人が嫌だったからこちらに来たのですね」
「だーっ! ちげーよ! やっとお前と二人きりで過ごせるからこっちに来たんだっつーの!」
 何の臆面もなく言い放ったプロイセンとは裏腹に、私は顔を赤くした。
「あなたは、なぜ当たり前のようにそう……っ」
 プロイセンは私の反応を見て満足げに笑い、すっと手を伸ばした。
「買い物行くんだろ?」
 バッグをちょんちょんとつつき、
「さっさと行こうぜ、こんなところに突っ立ってても寒いだろ」
「…………そ、そうですね」
 そして、少し慌てて歩き出した私の手を取った。そのまま指を絡められる。
「いきなり何を!?」
「こうでもしないとお前また迷子になるだろーが」
 それは真顔で言い放つことですか!?
「私だってそこまで方向音痴ではっ」
「いいだろ、別に」
 更に力がこもる。
「二人っきりなんて何ヶ月ぶりだ? 誰か知り合いが一緒だとお前まともに取り合ってくれなくなるじゃねぇか」
「あれは、公私混同はあまり良くないかと思って……」
「恥ずかしがんなっつーの」
 思わず言い返すことができずに黙り込むと、
「やっぱ図星だったか」
 けせせせっと笑われた。
「かっ、鎌をかけたんですか!?」
「怒んなよー、正直になれない坊ちゃん?」
「もう、あなたはっ」
「ほら着いたぜ?」
 私がよく行く大きなスーパーマーケットに、いつの間にか到着していた。
「……そうですね」
 気を取り直して、買い物に集中しようと自身に言い聞かせる。

「お、これうまそうじゃね?」
「こらっ、それを買うつもりはありませんよ!」
「えー、けちー」
「人の買い物だからって好き勝手言ってますね、あなた」
「まぁな」
 によによとからかいの笑みが浮かんでいるのを目にし、思いがけずため息が出た。
「取り合えず、買うもんこれだけか?」
「えぇ」
 これ以上もたついていると本当に余計な物を買わされそうだったので、強く頷いた。
「んじゃ帰るとするか」
 プロイセンが時計を見ながら言う。

 会計を済まして店を出ると、プロイセンが荷物寄越せ、と手を伸ばしてきた。
「荷物持ちくらいやってやるよ」
「なぜそんなに上から目線なのですか……」
「いいだろ、俺様が持ってやるって言ってんだからよ。お前が重ーい荷物持ってるとか、何か似合わねぇだろ、お貴族さま?」
「どうもありがとうございますっ」
 少し怒りを込めて荷物を放るように渡した。
「けせせっ。それに、お前に荷物持たれると手がつなげなくなんだろ? お前荷物両手で持つから」
 そう言ってすっと差し出された手を、私はじっと見つめた。
「……それで?」
「空気読めー! 手を握るところだろ、ここは! ほらほらっ、な、な?」
 私はふうと息を吐き出し、プロイセンの温かな手に自分の手を重ねた。
「よっしゃ、このまま家まで行こうぜ! お前から手をつないでくれるとかマジでめずらしー!」
「そんなにはしゃぐことですか……」
「呆れたように言ってるくせに、顔赤いぜオーストリア」
「そんなことありませんよっ」
「顔背けながら言っても信憑性ゼロじゃね?」
「あなたという人は……! そちらこそ空気を読みなさい!」
「俺様は事実を述べただけだぜー」
 軽口を叩き合いながら家を目指す。

 さあ、今日はどんなごちそうを作ろうか。
 彼が喜んでくれるのは何だろう。やっぱりシュトーレンは欠かせない。
 いつも悩むけれど、悩むことさえも楽しみの一つだといったら、またからかわれるのだろうか。
作品名:クリスマス連続短編集 作家名:風歌