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クリスマス連続短編集

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②独伊「キャラチェンジ」



「ドイツだドイツだー! 久しぶり~」
 結構なスピードで走ってきたイタリアが、ハグハグと抱きついてくる。
「もう約束の時間を十分過ぎているぞ」
「ヴェー……」
 えへへと笑い、ポリポリ頭をかくイタリア。
「準備してたら時間過ぎちゃったの」
「時間配分にはもう少し気を配れ。まぁ、十分程度の遅れならましな方だが……」
 すると、ほめられたと嬉しそうに笑われた。誰もほめてないぞ。
「早く行こうよ、ドイツ。俺今日のためにおいしいワイン探したんだ!」
「あぁ、そうだな。行くか」

 イタリアの歩みは、俺よりも遅い。どうしても相手に合わせるのが苦手な俺は、歩くスピードに意識が向いてしまう。それがイタリアには不満らしい。
「だってドイツ、歩いてる最中に話しかけても気のない返事しかしないんだもん。楽しくないの」
 歩いている最中に俺の袖を引いて、そう言った。
「仕方ないだろう、俺のスピードではお前がついてこれないし……」
「そうだけど……そうだ!」
 名案を思いついたという顔で俺の腕に抱きつくイタリア。
「これで歩くのゆっくりになるよ!」
「……すごく邪魔なんだが」
 イタリアにじとっとした目を向けたが、ただにこにことした笑顔で返された。仕方なくそのまま歩き出す。
「ねーねー、ドイツはいつ帰るの?」
「む? 明日の昼過ぎには帰るつもりだが」
「お昼まで食べてく?」
「……できればそうしたい」
「よーし、じゃあ張り切って作ります隊長! 俺本気出しちゃうよ!」
 そう言って見せたとびきりの笑顔に、俺は思わず見とれた。
「ドイツ? どうしたの?」
「いや、別になんでもない」
 俺には、こういう自分の気持ちを素直に伝えることはできない。イタリアなら迷わずに言ってくるのだろうが。
「ヴェ?」
 腕に抱きついたまま、体をねじって下からのぞき込んでくるイタリアに、俺の心臓がまた跳ねる。
「……ほら、着いたぞ」
 結局、ちょうどミラノにあるイタリアの別荘に着いたのをいいことに、俺は話題をそらした。
「うん、ちょっと待ってね、鍵、鍵……」
 手にしたバッグをごそごそと探り、鍵を探り出す。やっと俺の腕を離し、ドアを開けた。
「上がって上がって、今飲み物出すよ」
「すまないな」
 楽にしてねーとイタリアは笑った。

 のんびりとインターネットを見ていたイタリアが声を上げた。
「あ、プロイセンのブログ更新されてる! あはは、オーストリアさんの料理ってプロイセン相手だとすごく豪華になるよねー。うわー、シュトーレンおいしそう!」
「あの馬鹿兄貴は……。また押しかけたのか……」
「えー、こういうのもいいと思うけどな。ラブラブじゃない」
「約束くらいするものだろうが、普通」
「いきなりっていうのもいいものだったりするよ? 『これからこれ全部食べてやるぜ!』だって。すごい量だけどなー」
 などと、パソコンの画面を見ながら楽しげに笑っている。
「……イタリア」
「んー? 何ー?」
「お、お前が気に入るかどうかは分からないが……ほら、クリスマスプレゼントだ」
 その言葉を聞いた途端に、イタリアは俺の方を振り返った。
「ありがとドイツ! 開けてもいい?」
 キラキラとした期待のまなざしに若干おののきながらも、あぁ……と返事を返す。
「うおっ、これかっけー! マフラーだ!」
「気に入ってもらえると嬉しいんだが……」
「うん、すっごく気に入ったよ! 今度ドイツんち行く時これしてくね!」
「あ、あぁ。喜んでもらえて何よりだ」
「――ねぇドイツ、一つ訊いていい?」
「何だ?」
「これ、ドイツ一人で買ったの?」
 単刀直入な質問に思わずむせかえった。
「ドイツっぽくないよ、このセンス。もっと落ち着いた色選ぶでしょ?」
 確かに、俺が贈ったマフラーは、明るく鮮やかな緑色だった。
「そういう色の物を買おうとしたんだが、『イタリアさんならこっちの方が似合うと思いますよ』と言われてな……」
「あはっ、もしかしてリトアニアと買い物してきたの? それともラトビア?」
「リトアニアだ。ちょうど向こうもクリスマスプレゼントを買うところだったからな。正直、お前のセンスに見合う物を贈る自信もなかった」
「えー、俺、ドイツからもらったのなら何でも嬉しいよ?」
「そ、そうか? それなら今度からは俺が選んで……」
 それ以上言うのが恥ずかしくて、言葉は尻すぼみに消えた。
「でも、このマフラーもドイツの想いが詰まってて、すっごく嬉しいよ」
 マフラーを首に巻いて、似合う? と首を傾げるイタリア。
「あぁ、よく似合っている」
「ヴェー、ありがとドイツ! ご飯にしよ!」
「そうだな」

 イタリアの用意した食事を前に、俺はため息をついた。
「イタリア。オーストリアのもそうだったが、量が多すぎないか……?」
「ついあれもこれもって作ったらこうなっちゃってて……」
 少しばつが悪そうに笑われた。
「でも味は保証するよ! 材料集めから全部本気出したから、俺!」
「訓練もその十分の一だけでいいからやる気を出してくれ……」
「ヴェッ……えっと、さ、最善を尽くします、隊長!」
 そうやっていつものように騒いで、席に着いて。
 そして――
「なっ!?」
 辺りが暗やみに包まれた。
 驚いて闇雲に腕をさまよわせると、イタリアの手が俺の指先を優しくつかんだ。

「大好きだよ、ドイツ」

 瞬間、ふっとろうそくに明かりが灯った。
 オレンジの温かな光が、イタリアの顔を優しく映し出す。
「ごめんね、びっくりした?」
「あぁ……。心臓が止まるかと思ったぞ」
 でも嬉しい、とつぶやく。
「うん、俺も嬉しいよ、ドイツ!」
「あぁ……イタリア」
「なに?」
「愛してる」
 今日はこの空気に溺れていよう。いつもの俺らしくなくてもいいだろう。
 そう思った。
作品名:クリスマス連続短編集 作家名:風歌