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あなたに会えた喜びを

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雪男は待つ。
けれども、シュラは黙っている。気まずそうな表情になっていく。
しばらくして、シュラは口を開いた。
「え、えーっと、だな」
歯切れが悪い。
「えー」
「言いたくないんですね。わかりました」
「いや、そうじゃなくって!」
シュラは声をあげた。
「こういう状況で、そーゆーこと言うのは、なんか、照れくさいんだよ!」
手を拳に握って、シュラは主張した。
雪男はため息をついた。
「わかりました。諦めます」
だいたい、無理に言ってもらうことではないのだ。
しかし、それでも、残念である。
残念だが、しかたない。
雪男はシュラから眼をそらす。
そして、気持ちを切り替えるために、残っている緑茶を飲もうと、テーブルの上の湯飲みのほうに手を伸ばした。
そのとき。
「雪男」
シュラが名を呼んだ。
雪男が眼をそちらのほうに向けるまえに、シュラは続ける。
「好きだ」
嘘でも冗談でもないことが感じられる、真っ直ぐな声。
「……え」
雪男は戸惑った。
想定外だった。
このタイミングで、聞くなんて。
だから、心の準備ができていなかった。
余裕のある対応をしたいのに、できない。
顔が熱い。きっと赤くなっているだろう。
「不意打ちなんて卑怯ですよ……!」
「えー、聞かせてくれって言ったのは、おまえだろーが。だから、言ったのにー」
シュラの口調は軽い。からかっているのだ。
その顔を、雪男はジロリと見る。
「さっきとは違って、ずいぶん余裕があるみたいですね」
「ああ、あるぞ」
明るくシュラは答えた。笑っている。
「じゃあ、もう一回、言ってください」
「もう一回なんてケチくさいな。何回でも言ってやるよ」
シュラは歌うように朗らかに言う。
「アタシはおまえが好きだ、好きだ、好きだ」
そんなに連呼されたら、安売りみたいで、ありがたみがない。
そう雪男は言い返そうとして、やめた。
認めるのは悔しくもあるのだが、安売り状態でもなんでも好きだと言われれば、やっぱり、嬉しい。
雪男はシュラのほうに手をやった。
頬に触れる。
伝わってくる、感触と温もり。
好きな相手にこんなふうに触れられる立場を勝ち取れて良かったと思う。
顔を近づける。
やわらかな唇に、くちづける。
体温が上昇し、胸の中の想いがいっそう高まるのを感じる。
しばらくして、雪男はシュラを押し倒した。
シュラはソファに仰向けに寝る格好になる。雪男を見あげ、笑った。
その浴衣の襟を雪男はつかんで、まえを開いた。
豊かな胸のふくらみを眺める。
そこには、シュラの宿命が刻まれている。
「……シュラさん、あなたの戦闘スタイルだとしかたないでしょうが、あまり肌を露出しないでください」
「あー? なに言ってんだ、おまえ」
「僕の特権が減るのが嫌なんです」
「なんだそりゃ。独占欲か?」
にゃはっはっは、とシュラは愉快そうに笑う。
そして、その手を伸ばし、雪男を自分のほうへと抱き寄せた。







あなたに会えて、良かった。







生まれてきて、良かった。









作品名:あなたに会えた喜びを 作家名:hujio