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『幸せ』という名前

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いつだって僕は先にいるシュラさんに追い付こうと必死だった。今では同じ上一級ではあるけれど、それでもやはり実績やら信頼やらはシュラの方が勝っていて、それはまあ実力はあるし些細なことで揺らがないように見えるせいで安心感を与える人だからしかたないことだとは思う。
でも、今は頼りなくて弱い僕だけれど、いつか。
彼女の隣で、胸を張って、自分の場所はここだと主張できるように。他人を甘えさせてばかりで甘えるのが下手な彼女に甘えてもらうために。
「りーん!カレー!」
「いつか絶対追いつきますから。」
「……ほへ……?」
「お、ちょーどよかった!今よそい終わったとこだぜ!」
「いい匂いだね、兄さん。今日はミルク入りかな?」
「当ったりー!」
ご機嫌で台所の扉を開けて子供みたいに叫ぶシュラの横を通り抜ける際に、雪男はシュラにだけ聞こえる程度の声量で宣言しておく。
案の定シュラは合点のいかない表情をして雪男に気を取られているが、雪男はそれを無視して燐と穏やかに会話をする。意味が伝わろうが伝わるまいが、雪男にとって大事なことは、言った、というその事実だから構わないのだ。
「ほらシュラも座れよー。」
燐の言葉でシュラが席につき、三人が各々手のひらを合わせる。こうして三人で食卓を囲むようになってからは、いままで燐と二人きりだった合掌にシュラが加わった。
この一瞬の雰囲気がとても好きだと雪男は思う。
大好きな人に囲まれて、安心する空間で、日々は連綿と繋がっていく。数年前の雪男には想像もできなかった幸せな日々だ。
「「「いただきます!」」」





『幸せ』という名前を何につけよう

作品名:『幸せ』という名前 作家名:暮葉弥