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百井さん妄想1,000本ノック

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前編


夕日がビルの間に落ちてほぼ一刻、西の空の色から既に橙色は失われ、真冬の臨海地域は活動を停止し始めている。
大晦日の宵の口、りんかい線の車内は、両手に大きな荷物を抱えた、上気した顔の若い乗客でごった返していた。
そんな中に、大きなカメラバッグを担いだ吉野と、さらに大きなボストンバッグを両肩に下げた百井が向かい合って立っている。
立錐の余地もない車内でほぼ身体を密着させた二人は、やや興奮した口調で一日の出来事を、でも、周囲の乗客に気を使って、お互いの耳元に口を寄せて報告しあっていた。
そんなカップルの様子を、ある者はほほえましく、ある者はうらめしそうに眺めている。
いずれも、この特別な日を、同じ空間で過ごしてきた、戦友であるのだった。

くる年の準備の慌しさと、ゆく年の寂しさの交じり合った街を、吹く風に肩を寄せ合いながら歩く。
アパートの廊下で、吉野は最寄の駅から代わりに持っていた百井の荷物のひとつを返す。
百井は床にかばんを下ろし、服のあちこちを探ってやっと見付けた鍵を、しめ飾りのついたドアに差し、もう一度吉野の方に身体の正面を向け、両手を前で重ねて
「それじゃ、今日はお疲れ様。良いお年を」
と吉野に頭を深々とゆっくり下げる。
「う、うん。また。よ、良いお年を」
吉野も慌てて荷物を肩から下ろし、深く会釈した。
百井が荷物を室内に引き込むのを見送ってから、吉野はポケットから鍵を取り出し、ドアを開ける。

「……あー、なんで言えないのかなー」
玄関で、吉野はつぶやいた。
照明のスイッチをつけると、以前よりやや片付いた部屋には、新しく購入したばかりの毛足の長いラグやカウチソファ、ハート型のクッションと言った、いわゆるこじゃれたインテリアがコーディネートされていた。
カーテンもベッドカバーも、ペアのグラスも買い足した。
「折角、"【急募】彼女を呼べる部屋にしたい【決戦は大晦日】"なんてスレまで立てたのになぁ」
PCの電源を入れ、専ブラを立ち上げてスレをリロードすると、スレ住人達の書き込みがずらずらと流れてきた。

441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/31(金) 16:34:34.88
保守

450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/31(金) 17:40:30.12
そろそろか、そろそろなのか

451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/31(金) 18:45:45.99
安西先生、俺も"レイヤーの彼女と"コミケに行きたいです

460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/31(金) 19:15:10.34
はいはい、解散解散

461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/31(金) 19:18:22.50
コスプレ広場にヲチに行ったけど、どうみても特定困難でした。本当にありがとうございました

レスボタンを押して、結果を報告しようと思ったところで、「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。