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世界樹の巨乳ハンター

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 冒険者の多いエトリアでも、そうは見ない格好(へんたい)だった。顔を見られることを嫌い深くフードを下したカースメーカー、もしくは身の安全のため頭から足先まで板金鎧(プレートメイル)で覆いつくしたパラディンというのはいる。だが、顔の上半分を珍妙な仮面で覆った人物というのは、仮装パーティの会場でもなければ、そうお目にかかれるものではないだろう。 実のところ、目許を覆い隠す仮面などというのは、不審者(それ)のあやしさにほんの少しのスパイスを加えているに過ぎなかった。不審者(それ)は、ボディラインを露わにしたつなぎを身につけていた。露出度こそ、ダークハンターにありがちな服装(ボンテージファッション)ほどではない。とはいえ、全身をぴっちりと覆うそれは、露出こそ少ないものの女性のボディラインを極端なまでに露わにしている。身の丈はどちらかというと小柄な方だ。手足や腰のラインも、しなやかで細い。ただ、思い切りよく持ち上がった胸だけは違った。つなぎにはD-CUPと胸のあたりに描かれている。だが、どうみてもその程度で収まったサイズではない。日々、谷間の美しさで男性陣の視線を釘付けにするダークハンターの女性の美乳(Fカップ)すら凌駕した思い切りの良い巨乳だった。「巨乳ハンター、その男を惑わす乳のパイ拓、もらい受ける」
 片手には墨汁の瓶、もう片方にはさらし布。それぞれを手にした腕を胸前でクロスし、不審者――巨乳ハンターはそう宣言した。
「……かまっちゃ駄目」
 足を止めかけた少女に対し、女性はそう口にした。茶番に付き合う気はない。口調から表情態度から歩調まで、すべてがそう主張している。
「はい、お姉さま」
 くるりときれいな巻き毛のツインテールを揺らし、少女はうなずいた。
 確かに巨乳ハンターは、彼女たちの進路をふさいでいる。だが、大通りではないとはいえ、女性の身体一つで通れなくなるほど狭い路地でないのも確かだ。少女は少し歩調を緩め、女性の斜め後ろについた。彼女をカバーする位置であり、道をあける位置でもあった。「ぢぇいっ!」
 巨乳ハンターは構えをとかぬままに地面を蹴った。
「な……!」
 辛うじて避けた二人の間を、墨汁が勢いよく抜けていく。
「ちょっと何すんのよ、汚れたらどうしてくれるのよ!」
 毛皮よ毛皮、わかってんの! と。先ほどの黙殺の決意はどこへやら。先に切れたのは、女性の方だった。
「世界樹に挑む冒険者なんだから、服が汚れる破れるなんて普通じゃろーが」
「だから、滅多に行かないのよ!」
 くるくると指先で墨汁のビンを回しつつの巨乳ハンターの言葉に、女性は大きな胸をさらに強調するかのような立ち姿で、堂々と答える。
「うわぁ」
「世界樹に入んないと市民権とりあげられちゃうからさー、医者もかかれなくなるしぃ、住むトコとかお買い物とか困るようになっちゃうしぃ」「それっていわゆる不法入国……」
「あら、貴女も稼ぎたいなら紹介しましょうか?」
 うふん、と。濡れたルージュの唇を笑みの形に歪ませ、女性は巨乳ハンターに艶めいた視線を投げた。
「その仮面はいただけないけど、あなたの乳なら大丈夫よ。男って結局、ママのおっぱい吸ってた頃からぜーんぜん進歩してないものなのよね」
 きゃはきゃはと愛らしく笑いながら、彼女は胸の谷間――もとい、胸のあたりの隠しポケットから名刺を一枚取り出してみせる。確かに、巨乳ハンターの乳は彼女の言うとおり、とてもとても立派なものだ。しかし。
「ゆ、ゆーてはならんことを。もはや手加減無用っ!」
 どっぷりーんとした乳がちょっと不自然に揺れる。巨乳ハンターが腕をふりあげたためだった。攻撃とも激情の発露ともつかぬあいまいな動きを、ぴしりとまきついた鞭が封じた。犯人は、女性の影に隠れるようにひっそりたたずんでいた少女だった。「……ほぅ?」
「よくできました、仔猫ちゃん」
 女性の甘い声に、無表情な少女の頬がほんの少し上気する。彼女は小さく頷き、鞭を握る手に力をこめた。
 巨乳ハンターは用心深く腕を動かした。鞭の向こう側にかかる力をはかるかのような動作だった。にやりと口元が弧を描いた。次の瞬間、巨乳ハンターは地面を蹴り、少女に向かう!
 少女は表情一つ動かさずに、絡みついた鞭を解き後退する。巨乳ハンターは墨汁とさらし布を左手に持ち、剣を抜いた。
「っ――!」
 そのまま少女に切りかかるかに見えた彼女は、不意に方向を変える。一拍遅れて、彼女の頬から一筋の血が流れた。
 ダークハンターの女性の指にあった名刺が地面に落ちている。角の一つが、ほんの少し赤く汚れていた。「……あやしいお店のおねーさんが本職ではなかったか?」
「It's show time」
 じりじりと、巨乳ハンターをはさんで対角線の位置に、少女が移動する。
「今日の調教相手はぁ、巨乳の変態ちゃんでぇす」
「誰が変態だ」
「女王様と仔猫ちゃんの技、たーっぷりとお楽しみくださぁい」
 やけに間延びした口調のアナウンスは、集まりつつある野次馬に対するサービスだろうか。いいぞ、女王様! ガンバレ変態! と、無責任な野次がそれに応える。
 ゆっくりと、女性は細身の剣を抜く。巨乳ハンターにしてみれば、それを待つ理由はない。地面を蹴った。
「ぐっ……」
 が、そのままばたりと倒れた。足首に、少女が操る鞭が絡みついたためだった。ぐいと少女は鞭を引く。ずるり、と、地面に倒れた巨乳ハンターの身体が動いた。ほっそりとした手足からは信じられないほどの膂力だった。 女性が進み出る。
「口ほどにもない」
 そう言って、彼女は剣の切っ先を伸ばした。その先には、巨乳ハンターのマスクがある。いいぞー女王様、どこの店だーという野次馬たちにひらひらと手をふってから、彼女は切っ先でマスクをひっかけた。ほんの少し力をこめれば、ぷつりといく。
「ハッ!」
 巨乳ハンターは、腕立ての要領で地面にてのひらをつき、力を込めた。腕の力のみにもかかわらず、身体が跳ね上がる。女性が持っているものよりも、ずいぶんと無骨な剣が下から上へとまっすぐな軌跡を描いた。
「きゃあっ!」
「――ああっ、お姉さま! あっ!」
 夜目にも白い巨乳がまろびでる。おおっと野次馬たちが喜びの声をあげた。巨乳ハンターは剣を捨て、腕で地面に激突する衝撃を和らげた。そして、少女の力が緩んだ期を逃さず、足をひき姿勢を整える。 闇よりも黒い液体が、女性の胸に襲いかかった。その後を、さらし布が追う。
「っ! ……あ、ちょ、や……あん、やだ、待って、イイ……」
 意外なほどに繊細な指先が、さらし布の上から豊満な女性の胸をもみしだく。乳首を掠め、つまみ、さらには胸全体をこねくる動きに、思わず女性は声をあげた。
 おお、と。野次馬の輪が狭くなる。鞭をとりおとし、少女がお姉さまと半泣きで呼んだ。その時。
 ピリピリとどこかで聞いた笛の音が響いた。近所の誰かが通報したのか、それとも見回りの途中なのか。執政院の兵士たちが近寄ってきた印だった。
 野次馬、そして巨乳ハンターとそれぞれがそれぞれの理由で舌打ちをした。
「ふん!」
作品名:世界樹の巨乳ハンター 作家名:東明