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【腐向け】とある兄弟の長期休暇(前編)

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 苦手な相手の話であれば、どんなに自然な誘導でも、そもそも聞いてもらえるかどうか怪しい。現に兄は耳を塞いでいた。
 おみやげを選びながら、日本が生き生きとした瞳で拳を握る。この控えめな友人は変な所にスイッチがあるようだ。
「ここは私の出番ですね」
 引っ掻き回す気満々の顔に、ヴェネチアーノの顔が引きつる。嫌な汗が顔を流れるものの、彼のことだからそこまで酷いことにはならないだろうという信頼があった。
(両思いなのを気付かせるだけなのに、何でこんなに大変なんだろう)
 一番面倒なのは、そういう感情を向けられていると匂わせても兄達は揃って否定する所だ。変な所だけ似ている親分子分である。
 ロマーノは彼の愛を「親馬鹿」としか感じていないし、スペインはスペインで「親分として慕われている」と思い込んでいる。
 二人揃って「片思い」だと思い込んで早数百年。
「じゃあ何で今も好きなんだよおおおお!」
「い、イタリア君!?」
 つい心の声が出てしまい、隣の日本を驚かせてしまった。慌てて謝り、心を落ち着かせようと深呼吸する。
 諦められないのならいっそ告げるしかないだろうに、兄達は様子を見ながらブレーキとアクセルを繰り返すだけ。それも序盤ならいいだろう。でも今の状況は既にカーブを突き抜けて空を飛んでいるようなものだと気付いて欲しい。
「もうゴールの斜め上に行ってるんだよー!」
「お、落ち着いて下さい」
 よしよしと頭を撫でられ、ちょっとだけ気持ちが落ち着く。相当今日一日でストレスが溜まっていたようだ。
 兄の幸せは自分の幸せではあるけれど、今回の目的は兄と一緒にバカンスを楽しむ事だと思い出す。二人の恋模様は一旦置いておこうと気持ちを切り替え、ヴェネチアーノは買い物が終えた後皆を誘ってカフェで一息つくことにした。


後編へ続く。