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ジャイアントほむ~散りゆくは美しきQBの夢

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「みんな、私、わかったの。あの怪物は、私達を常に試し続けようとする外部からの存在だって。そして私達が生きているこの時代よりはるかな過去から、その邪悪な存在は人間の心に寄生しながら生きてきたんだ。そしてそうした存在と戦ってきた人達もいたんだ。あの怪物は、私達の世界では、悪魔や鬼、天狗、妖怪と呼ばれる存在だったんだ。人間に絶望を与えるため」

  全てを語るまどかの言葉に皆は聞き入っていた。

「だけど、今の光であの怪物が消滅したわけじゃない。常に人間とともに歩んできた存在でもあるの。だから――」

 まどかは言葉を切った。

 彼女の目の前にその怪物が現れたからだ。

 皆が声にならない悲鳴を上げた。だがまどかは一人落ち着いてその恐怖を受け入れた。

「君たちにはしてやられたよ。もう、“きみたち”の前には姿を現しはしない。約束しよう。君たちの勝ちだ、おめでとう」

「てめぇ、まだ生き残っていたのか!」

 杏子が恐怖を抑え込んで叫ぶ。

「僕たちは不死身だ。もっとも先のまどかの力でその個体の数とエネルギーを大幅に失ったがね。女禍、いや、まどかよ。そうやって永遠に愚かな人間たちとともに歩んでいき続けるのかい」

 理知的な調べでキュウべえが尋ねた。その問いかけは半ば同情的な響きを持っていた。

「ええ、私はみんなとともに生きる。ナザレの大工の息子やシュッドーダナの息子のように」

 まどかは返した。

「だが、その大工の息子は絶望しながら死んでいったんだよ」

「でも、貴方が呉れた箱を開けた愚かな女は、その過ちに気付き希望をその箱のうちに残す事が出来た。この世界は常に絶望とそれに立ち向かう希望とで織りなされているの」

 いつのまにか悪魔はその姿を消していた。

「ぼくたちは常に君たちとともにあるよ。ではさらばだ、見滝原の少女たちよ」

「人間も、生きることも、そんなに捨てたものじゃないわよ」

 姿を消した悪魔に向かって、まどかはつぶやいた。

『ジャイアントホム』 了