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ゆきのクロ
ゆきのクロ
novelistID. 33935
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PUZZLE2

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「残念ながら、ここにいるのはただのクソタレ女です。あなたのイチゴちゃんではありませんよ」
「違う!イチゴちゃんだ、イチゴちゃんだ!」
「ほう。だがイチゴちゃんとやらは、清らかな少女だったと思いましたが?」

ベルゼブブは薄く笑うと、背に隠したりん子を前に立たせ、男に見せ付けるように彼女の胸を揉んだ。

「この女は、私の慰み者なのですよ?清らかとは程遠い、淫奔な魔女です」
「!」
もちろんりん子は抵抗するが、ベルゼブブはその耳元に唇を寄せて囁いた。

「黙っていなさい。面倒は嫌なのでしょう?」
「だからって……!」
「これ以上の茶番は御免です。それに私は何一つ、嘘は吐いていない。――おとなしくしないなら、あの男の前で、あなたの淫乱な本性を暴いてやってもいいんですよ?」
「…っ!」

何度も体を重ねて、確かに弱味は知り尽くされている。仕方なくりん子が動きを止めると、すぐに温かい唇が目元に触れた。

「あっ……!」
思わず体を震わすと、ベルゼブブは満足気に微笑んだ。
そんな二人のやり取りを見せ付けられた男が、奇声を発する。

「い、イチゴちゃんは処女だ!新品なんだ!――そんなブス、イチゴちゃんじゃない!」

捨て台詞を吐いて踵を返した背中を、赤い目が睨んだ。
次の瞬間、男はその場に崩れ落ち、彼のズボンの尻の辺りはみるみる汚れていった。

「うわあ……。」
思い切り引くりん子の横で、ベルゼブブはにやにやと笑っている。




――慰み者。
そうか、そうだ。時々忘れそうになるが、自分はそういう立場の人間で。
何を勘違いしていたのだろう。

りん子は昼間見た、彼の王冠を思い出した。
丁寧に磨かれて、ピカピカに光っていたそれ。

道具を大事にする人だから、きっと自分にも優しく触れるのだろう。
きっと、それだけの――。

頬を熱い雫が伝っていく。
「あれ……。」
りん子はごしごしと瞼をこすった。それに気付いたベルゼブブが、慌て出す。

「怖かったんですか!?言い過ぎました!?でも、もう大丈夫ですから!」
彼はひとしきりオロオロしたあと、困ったような顔でりん子を柔らかく抱き締めた。

「こ、これに懲りたら、もう不用意な行動を取っちゃダメですよ!あと、何か困ったことがあったら、絶対に私に相談してください!」

――私が泣いたのは、自分のせいだとは思わないのか、この悪魔は。
鈍い彼に呆れたおかげで、涙はすぐに止まった。

「はいはい。わかりました!」
見た目よりずっと厚い胸を押し、遠ざける。
「なんですか、その態度!大体、あなたは……!」
またもや説教大会になりそうな彼の数歩先を進み、りん子は前を向いたまま声をかけた。

「帰りましょう。――部屋、寄って行きますか?」
「!」

長い足を一歩二歩動かし、ベルゼブブが真横に立つ。
整った横顔を見上げた瞬間、りん子は探していたパズルのピースが見付かったような気がした。

「カレーが食べたいです」
照れくさそうに言う彼に、微笑み返す。
「あなたはいっつもそれですねえ」

バカみたい、泣き出したい、笑いたい、怖い。それらの気持ちが凝縮された、たったひとつの感情に、ついていけない。
――つまり私は、この人に恋しているんだ。

だけど慰み者で、道具扱いで、恋愛対象として見られてなくて――。
思えば思うほど、底なし沼に沈んでいきそう。
だから、とりあえず今は――今夜のカレーに何を入れようか。ベルゼブブを喜ばせるためのそれを、考えることにした。

END
作品名:PUZZLE2 作家名:ゆきのクロ