Worst D × Best L
その時、すべての荷が下りる感覚があった。そうか。俺は、そうか。『かっこつけてた』んだ。いいことして償ってる俺、カッコいい、ということを、無意識のうちに思ってたんだ。…結局はエゴなんだな。俺はずっと、自分のエゴに縛られて。
「いいのか?こんな俺で…」
「私がダメって言うと思う?」
その瞬間、じいさんが消えていくのを見た。
「じいさん?」
「もう、決まりじゃろう…幸せに暮らしなさい。わしはまた、『家』に戻るわい…そうじゃ、転職考えとくんじゃぞ。こんな危ないところで子供を育てるなんていけんじゃろ」
そう言って、俺たちを見て、笑顔のまんま、じいさん、いや、『世界』は俺たちの目の前から消えていった。
作品名:Worst D × Best L 作家名:フレンドボーイ42